第160話 親子の再会
【お知らせ】
第6回カクヨムコン特別賞&ComicWalker漫画賞受賞
「絶対無敵の解錠士」
《レーベル》スニーカー文庫
《イラスト》UGUME先生
《発売日》11月
書籍版でしか読めないオリジナルエピソードもあります!
現在予約受付中!
よろしくお願いいたします。
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「パパっ!?」
「アメリー!!」
廃棄のダンジョンからハーシェ村へと帰還した俺たちがまず真っ先に向かったのは――当然、アメリーのもとだった。
「俺がいない間、ひとりで店番をしてくれていたのか……!」
「うん!」
大泣きしながら抱き合い、再会を喜ぶアメリーとエディさん。
感動的な光景に、俺たちの目頭も思わず熱くなった。
それは俺たちに限ったことではなく、エディさんが行方不明になってから、店とアメリーを支え続けていたハーシェ村の人々も同じようだった。
すると、ひとりの老人が俺たちのもとへとやってくる。
「初めまして。私はこの村の村長をしております、パリージです」
「あ、ど、どうも」
「あなた方が、あのダンジョンの謎を解き、エディを捜しだしてくれたのですね?」
「え、えぇ、まあ」
俺がそう答えると、周囲にいた村人たちがワッと盛り上がる。
「本当か!?」
「あの狭いダンジョンの謎を解いたっていうのかよ!」
「やるなぁ!」
「もしかして、名のある冒険者か!?」
俺たちを囲んで湧き上がる村人たち。
村長が彼らをなだめると、コホン、と咳払いをひとつ挟んで話を続ける。
「今日はエディの帰還を祝して派手に騒ごうと思うのですが……あなた方も参加されませんか?」
「もちろん!」
パリージ村長からの提案を受け、俺たちは村の宴会に参加することにした。
その日の夜。
村をあげての大騒ぎとなったが、それは当初予定した規模よりも遥かに大きなものとなった。
理由は、あの役立たずだと思われていた狭いダンジョンの向こうに、広大な廃棄のダンジョンが存在していたこと。そして、そのダンジョンで暮らしているA
これが、村人たちを大いに喜ばせた。
特に目立った産業もなく、年々人口が減り続けていたハーシェ村。
消滅するのも時間の問題ではないかという噂さえ立っていたが、それがダンジョン運営のおかげで賑わいを取り戻せるかもしれない、と大変な騒ぎとなったのだ。
その騒ぎは、そのまま夜の宴会へと引き継がれた。
「す、凄い賑わいね……」
「ホントですね……」
それまでの静かな空気とは打って変わり、大騒ぎする村人たちを眺めながらイルナとジェシカが呟く。
俺も同じ気持ちだし、村の女性たちと盛り上がっているミルフィ、マシロ、トーネも同じだろう。
「そういえば……オデル村のペドロ村長は元気にしているかな」
ふと思い出したのは、Zランクに指定された霧のダンジョン近くにあるオデル村のペドロ村長だった。あそこも、ダンジョンの謎が解けてから、村を発展していくと意気込んでいたな。
機会があれば、また行ってみるとしよう。
この村も……きっと大きく発展するはずだ。
そう確信する夜となった。
◇◇◇
翌朝。
昨日の大騒ぎが嘘のように感じる静寂さに包まれた村。
宿屋の前に集まった俺たちは、その先にある次の目的地――「風のダンジョン」へ向けて旅立とうと馬車の準備を進めていた。
そこには、俺たち以外にもふたりの人物の姿が。
「行ってしまうのか?」
「もうちょっといればいいのに」
「また来ますよ。今度はちゃんと、ダンジョンを探索する冒険者として」
俺たちはふたりに別れを告げて、ハーシェ村をあとにする。
次の目的地――風のダンジョンを目指して。
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