第139話 告白

 俺はウィローズにすべてを打ち明けた。

 手にしている数々の武器。

 すべてが解錠レベル三桁後半の激レア武器だが、それらの入った宝箱を開けるには、有力な解錠士アンロッカーに解錠依頼をする必要がある。


 だが、その必要はないと告げた。

 なぜなら――俺自身が解錠士アンロッカーだから。

 

 それを耳にしたウィローズは、思いのほか冷静だった。

 俺が手にしている龍声剣、破邪の盾、天使の息吹はいずれも王宮解錠士ロイヤル・アンロッカーと呼ばれる者でなければ解錠は不可能だ。

 世界的に見ても数が少ない王宮解錠士ロイヤル・アンロッカー

 それと同等の力を持っている。

 ウィローズもまた俺と同じように、王宮解錠士ロイヤル・アンロッカークラスの力があるようだが……どんな反応を見せるか。


「……あなた、名前は?」

「フォルトだ。フォルト・ガードナー」

「フォルト……」


 俺の名前を聞いた途端、ウィローズは何やら考え始めた。

 そして、


「やはり、聞いたことありませんわね」

「? 何を?」

「あなたの名前ですわ。それだけの力があるなら、わたくしの耳にも届いていいようなものですのに」


 過去の実績ってことかな。

 ただ、これに関しては俺よりも周りが先に食いついた。


「そもそも、フォルトは霧の旅団の一員よ」

「!? 霧の旅団……あのSランクパーティーの?」

「そうよ! ちなみに、そのパーティーのリーダーは私のパパなんだから!」

「……なるほど、霧の旅団の専属解錠士アンロッカーというわけですのね。ということは、この辺りに霧の旅団が?」

「いや、今は俺たちだけで動いているんだ」


 リカルドさんたちは大迷宮のダンジョンを攻略するために腰を据えているからな。


 それから、俺たちの旅の話をみんなでウィローズに聞かせた。

 彼女だけじゃない。

 テンペストのメンバーも、俺たちの冒険譚に興味があるようで、聞き耳を立てていた。


 草原のダンジョンから始まり、砂漠のダンジョン、塔のダンジョン、霧のダンジョン、そして現在地である氷雪のダンジョン。ここにたどり着くまでの話をしたが……語っている俺たちも懐かしくて思わず笑顔になった。


 聞き手であるウィローズたち、さらにはトーネとゴルディンさんも加わって、話はどんどん盛り上がっていく。だが、まもなく夜がやってくるということで、俺たちは一旦ダンジョンの外へと出ることにした。


「大変有意義な時間を過ごせましたわ。よろしければ、続きは宿屋でしませんこと?」

「いいのか?」

「えぇ。部屋を用意させます。――あなた方とは、仲良くやっていけそうですもの」

「ありがとう。――俺たちはまだここで少しやり残したことがあるから先に行っていてくれ」

「分かりましたわ」


 ここで、テンペストを先に帰し、俺たちはダンジョンへと残る。


「どうしたの、フォルト」

「やり残したこととは?」

「それは――」


 俺はみんなを集め、作戦を伝える。

 すると、全員がこの案に乗ってくれた。


「それじゃあ――っと、その前に」


 やり残したことをする前に、俺はトーネとゴルディンさんのもとへ。


「いろいろと感謝するぞ、フォルト。これでワシは元の姿に戻れる」

「ありがとう」

「いえいえ、これくらい」

「人間に戻れたら、ワシはもう一度冒険者になるつもりじゃ」

「……それで、ものは相談なんじゃが……」

「なんですか?」


 ゴルディンさんは少し間を開けてから、俺にある願いを告げた。


「トーネを君たちと一緒に連れて行ってはくれないか?」

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