第124話 遠征
※またも予約時間が……申し訳ありません。
《霧の旅団》のリーダーであるリカルドさんたちと別れ、俺たちは俺たちの冒険に出かけることとなった。
俺たちは馬車に揺られつつ、次の目的地である氷雪のダンジョンからもっとも近い位置にあるオノンという町を目指して出発。ちなみに、本日の馬車の御者はイルナが担当することとなった。
「疲れたらいつでも交代するから」
「えぇ、頼むわ」
たまにはここからの景色を見たいという本人からの要望だが、なかなか大変な作業であるため、俺も万全の状態で待機していないとな。
「どんなお宝やモンスターがいるのかしらね、氷雪のダンジョン」
「私とジェシカが調べた限り、攻略難易度はそれほど高くはなかったわ」
「そうですね。これまで潜ったダンジョンと比べると、砂漠のダンジョンの方が難しいみたいです」
「砂漠のダンジョンか……懐かしいな」
攻略してからそんなに時間が経っているわけではないが……なんだか遠い昔の出来事のように思えてしまうな。まあ、それくらい、その後も印象深いダンジョンに潜っていたってことだけど。
「砂漠のダンジョンといえば、あの大きなサソリがいたところね」
「あれはなかなか苦労しましたねぇ」
「そ、そんなに大変だったんですか?」
そうか。
あの時はまだマシロが合流する前のことだったな。
「なかなか手強かった相手だな」
「あのダンジョンみたいに、いわゆるボスモンスターが潜んでいると厄介よねぇ」
御者を務めるイルナが言う。
今のところ、そういった強いモンスターの目撃情報はないが……どこかに潜んでいて遭遇した人がいないってだけかもしれない。俺が三種の神器を見つけたあのダンジョンだって、地底湖の存在は眉唾物って評判だったし。
まあ、いずれにせよ、心機一転で潜る最初のダンジョン――楽しみだな。
早朝に出発し、目的地であるオノンの町へ到着したのは夜になってからだった。
早速宿を手配しようと思ったが、
「えっ!? ここも満室!?」
オノンは大きな町で、別地方との境界近くにあることから、行商も多く、宿屋はここを含めて五つもある。
しかし、なぜかどこも満室らしい。
「いくらなんでもおかしくない!?」
「何か、特別な理由でもあるのですか?」
イルナとジェシカが宿屋の店主に詰め寄る。
すると、
「じ、実は……三日ほど前からAランクパーティーの一団が泊まりに来ていて……彼らが宿の部屋を独占しているのです」
「Aランクパーティー……」
宿屋の店主の態度から、彼もまたそのパーティーの横暴に苦労している様子だった。それならなぜ退店を迫らないのかと尋ねると、
「そ、それが……そのパーティーのリーダーは
「
……どうやら、いきなりダンジョン以上に厄介な存在と当たってしまったらしい。
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