第122話 偉大なリーダー
翌日。
俺たちはみんなでリカルドさんのもとへ結論を伝えに向かった。
ダンジョン内にある川のほとり。
そこにある大きな岩に腰かけて武器の手入れをしているリカルドさんへ、メンバーを代表し、俺が他のダンジョンへ挑むことを告げると、
「やはり、その結論に至ったか」
そう言って、リカルドさんは優しく微笑んだ。
どうやら、俺たちが他のダンジョンへ挑戦するというのは予想通りだったらしい。
「ちなみに、次に挑むダンジョンはもう決めたのか?」
「いえ、それはこれからクロエルのギルドへ行って決めようかなって」
「そうか」
ゆっくりと立ち上がったリカルドさんは俺たち五人の顔を見回すと、
「いい面構えになったな」
腕を組み、満足げにつぶやいた。さらに、
「フォルト」
「は、はい」
「心優しい
「リカルドさん……はい! 頑張ります!」
「うむ。――イルナ」
「えっ!? あ、あたし!?」
「みんなとの冒険は楽しいか?」
「そ、それは……うん。とても楽しいわ」
「ならばこれからも存分に楽しめ。その拳で仲間を守り、障害を蹴散らせ」
「うん!」
「ミルフィ」
「えっ!? あっ!? は、はい!」
「君の
「もちろんです!」
「ジェシカ」
「な、なんでしょう!?」
「その豊富なアイテム関連の知識は、どんな場面においても役に立つ。戦うだけがパーティーを支える役目ではないのだからな」
「心得ています!」
「マシロ」
「ひゃい!?」
「通常魔法とは異なる歌唱魔法でしか突破できな困難も待ち受けているはずだ。自信を持って仲間との冒険を楽しんでくれ」
「わ、分かりました!」
「それから……テリー、君もみんなのことを頼むぞ」
「ワン!」
リカルドさんは俺たち五人と一匹へそれぞれメッセージを送った。
こうしていると……俺たち全員の父親って感じがするな。
気がつくと、この様子をアンヌさんやエリオットさんたちパーティーメンバーが優しい眼差しで見つめていた。
みんなが、俺たちの旅立ちを祝ってくれている。
それを実感した。
「次に会う時は今よりも成長した姿が見られそうだ……だが、困ったことがあったらいつでも俺たちを頼っていいんだからな。俺たちは――ファミリーだ」
「はい!」
俺たちは揃ってリカルドさんに頭を下げ、他のメンバーにも、挨拶をしていき、大迷宮のダンジョンをあとにした。
◇◇◇
「本当に立派なリーダーだよなぁ、リカルドさんって」
「フォルトもパパに負けないくらい凄いリーダーになりなさいよ」
「で、できるかな」
「ふふふ、フォルトなら大丈夫よ」
「そうですよ」
「私もそう思いますよ、フォルトさん」
「ワン♪」
クロエルへと戻る道中で、俺は四人と一匹に励まされた。
偉大なリーダーであるリカルドさんを超えることは並大抵の努力じゃ無理だろう――だけど、みんなのためにも、俺はリカルドさんを目標にしてこれからの冒険を挑むことにしたのだった。
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