202012ジャパロボ 11

渋谷かな

第1話 ジャパロボ11

「菜々子ちゃんはどこだ!」

 愛の部隊が桜田門から突撃する。

 ドカーン! バカーン! プスーン!

 愛の新型機タイプ03ジャパロボは恐ろしいスピードで、テロリストの防衛する桜田門を突破する。

「す、すごい!?」

「隊長はキレキレだな!?」

 愛隊のメンバーも隊長の活躍に舌を巻く。

「雑談は抜きにして、愛ちゃん隊長のフォローをやるよ。」

「着地や後ろから敵の攻撃を防げばいいんだろう。やってやるよ。」

「いいか! 私たちで愛隊長を助けるんだ!」

「おお!」

 愛隊の泉、海、笑、音はジャパロボのタイプ02に乗り込んでいるが、タイプ03の愛のジャパロボの動きにはついていけなかった。


「こ、これが!? ラブリ!?」

 初めてラブリを目撃したローラ隊の面々は吐き気を覚える。

「人体実験ですか!?」

「いや、違う。クローン人間だ。」

「クローン!?」

 東京都パイロット研究所の舛添田博士がラブリが完成したので、守備していたローラ隊員たちにお披露目する。

「そうだ。基本はローラ隊の戦闘データを脳裏に焼き付けたAI搭載のロボットとでもいうべきかな。もしラブリの量産に成功すれば、素人でもジャパロボの操縦がベテランパイロット並みの活躍ができるようになるのだ。」

 そして目覚めるラブリ。

「私はラブリ。既得権益は敵。敵は排除する。全ては力の無き者のために。」

 ラブリは荒んだ現代に居場所の無い者たちに居場所を与えるために生み出された。

「さあ、ラブリ。おまえの実力を見せつけてやれ。」

「はい。マスター。」

 クローンのラブリは感情が乏しいようにも感じられた。


「うおおおおおおおー!」

 愛がジャパカイダのジャパロボを次々と倒していく。

「本丸! 獲ったぞ!」

 愛の部隊は他のどの部隊よりも先駆けて皇居の本丸にたどり着いた。

「やったー! 愛隊長! やりましたね!」

「泉、後で腕立て伏せ100回な。」

「ええー!?」

 愛隊の暗黙のルール。メンバーの名前は○○ちゃん付けで呼ぶこと。違反すると重い罰が待っている。

「愛ちゃん隊長、他の部隊が中々、この本丸までやって来られません。私たちでヘルプに行った方がいいんじゃないですかね?」

「ダメよ。私たちは仲間を信じて、この本丸を完全に制圧できるまで動くことはできない。」

 確かに愛隊以外の警察や自衛隊のジャパロボ部隊は苦戦していた。両軍のジャパロボの性能は大して変わらない。一番の違いは特殊仕様である。未だに水の防止機能がない警察や自衛隊のジャパロボはお堀に引きずり込まれると、それだけで動けなくなってしまう。

 ドカーン! ドカーン! ドカーン!

 その時、皇居の大地に巨大なミサイルが何発も打ち込まれる。

「なんだ!?」

 皇居の上空に見たこともない大型のジャパロボが現れた。

 つづく。

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