3章上 期末試験と勉強合宿

第0話 導入

どうしてこうなったのか。


揺れ動く小型バスの中で僕は頭を抱える。


確かに主導で動いたのは僕だ。御園出雲に借りを返さなければいけなかったし、そのタイミングで多方から勉強の要請があったし、それなら雨竜を絡めて彼女を作らせる作戦も実行してしまおうとこの計画を思い付いただけ。


それを実行できたら、僕はそれとなくフェードアウトする予定だった。



それが――――どうしてこうなったのか。



「やったー! あーがり!」

「晴華ちゃん、ウノって言ってないよ?」

「えええ!? 嘘だよ嘘だよ!?」

「言ってないわね、晴華プラス2枚よろしく」

「ひどい、誰も教えてくれないなんて……!」

「教えるわけないでしょ、馬鹿じゃないの?」

「むう! マヨねえには絶対負けないから!!」

「マヨねえって言うな!!」


とても勉強をしに行く雰囲気でない様子を感じながら、僕は大きく溜息をつく。


父さんも加担していたかと思うと少し哀しくなってきた。



そして話は、5日ほど前に遡る。

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