壊れた家族

神楽 雪

もう居ない

そこに、私の知る家族は居なかった。

ちょうど1年前私が14になった頃、祖母が癌になった。あまりしっかりと実感はわかなかった。沢山の親戚に好かれ、83でまだ仕事をしていた祖母が、あの静かで寂しい病室で1人寝たきりなんて想像出来るわけがなかった。親が祖母のために毎日忙しそうに病院と家を行き来し、祖母の世話をしているのが現実を私に言い聞かせるようで、祖母が居なくなってしまうのではないかと不安だったのをよく覚えている。


そんな綺麗な家族はもう、ここには居なかった。祖母が帰ってきて、やっと休めると思い込んでいた私の母は家に帰ってきた祖母の面倒を見ないと行けないと知ると途端にやる気をなくした。父は仕事で家にはおらずいつも私が祖母の面倒をしている。母は昔していたように家事をする気もなく、毎日テレビを付け昼間に昼寝をするのが日課になっていた。そのくせ、祖母が体調が悪いと訴えると善意なのか、無理に歩かせたり家事をさせたりした。それを横で見るのが辛くて、母に反抗していた。祖母が病院から帰ってきてから私は考えていた。祖母の為にと寝る間も惜しまず頑張る私の自慢の母は何処で何をしているんだろう。今、ここにいる義母はきっと私の母ではなくて、どこか違う家族からきた別の義母なんだ。そう考えることでしか自分を認めることが出来なくなっていた。

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