——笑うちり紙様——

 ヒラヒラと舞うちり紙を見て、腹を抱え大声で笑うコウ。


「ちり紙様だって!? お前バカじゃん。こんなマヌケなGiveギヴ見たことねぇぜ!」


 コウの発言に、ピクリと眉毛が反応するレン。こめかみに血管が浮き出る。


「……おい、今俺のGiveギヴをマヌケって言ったか?」


 怒りに震えるレン。レンに取って【ちり紙様】は、何度も窮地きゅうちを救ってくれた相棒だった。


「ああ言ったね、こりゃ俺の勝ちは確定だな。そんなの役にも立たないGiveギヴで、俺の【雷々拳ビリビリ】に勝てるわけねぇだろ!」


 コウは言い終わると同時に、レンに襲いかかる。電気を帯びた拳を、次々と繰り出す。コウのラッシュを、全て避けるレン。


「クソほど役に立つってんだ馬鹿野郎!」


(ちっ、当たってねぇのに近くを通るだけで、身体が痺れてきやがる。こりゃ一発でも食らうと危ねえな……)


 濡れた身体のせいもあり、ジリジリとダメージが蓄積するレン。


「どうしたどうしたっ! 動きが鈍ってきたんじゃないか!?」


 事実身体の痺れのせいで、反応が遅れ出すレン。一旦退き距離を置く。


「ははっ! ビビってやんの!」


 肩で息をしながら挑発するコウ、当たらない攻撃ほど疲れるものはない。


「ふう、だいぶ溜まってきたな」


 コウは自分の身体を確認する。バチバチと電気がコウの身体を走る。


「ひとつ教えてやるよ。今、俺の身体は帯電状態にある。お前が俺に触れた瞬間、体に溜まった電気がお前を襲う! もうお前の勝ちはねぇぜ」


 勝利を確信しニヤリと笑う。その顔をレンのちり紙が覆い隠し、視界を奪う。コウは右手で掴み、ちり紙を顔から剥がす。ひらけた視界にレンの姿が見え、咄嗟に攻撃に備えて、全身に力を入れる。


( バカめっ、俺の帯電した電気をくらいやがれ!)

 

 レンはクルリと背中を向け、回転した力を利用し、ガードしたコウの腕ごと顔面を蹴り飛ばす。鍛え抜かれた身体から放たれたレンの回転蹴りに、百六十センチの小さな身体は蹴り飛ばされ、放置してある車へとぶつかる。バチバチと車に電気が走り、レンの勝利で戦闘は終わった。


「なっ、なんで……」

 

 真っ直ぐと立つレンを見て、コウが疑問に思う。


絶縁ぜつえん靴だ」


 履いている靴を、足を上げて見せる。レンはコウの元へ歩き、ちり紙を数枚コウに落とす。


「紙様を笑うモノは紙様に泣くってな、それでケツ拭いて出直してこい」


 決め台詞を吐き捨てるレン。書いてて恥ずかしくなる私。


 喜ぶジョーと赤くなるモモ。


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