202012ジャパロボ 8

渋谷かな

第1話 ジャパロボ8

「やめろー! そいつは味方だ!」

 菜々子は自分と同じ機体で、複数のテロリストの河童ジャパロボに取り憑かれお堀に引きずり込まれそうなのを止めようとする。

 ガキン!

 菜々子は河童ジャパロボを1体1体引き離していく。

「大丈夫か?」

 菜々子は自分と同じ機体のジャパロボを助けた。

「な、菜々子ちゃん?」

 相手の機体から無線で声が聞こえてきた。

「おお! やっぱり味方か。そうだ私は菜々子だ。」

「菜々子ちゃん!」

 相手の機体が菜々子のジャパロボに抱き着いてくる。

「ええ!?」

 戸惑う菜々子。

「私だよ!? 愛だよ!? 菜々子ちゃん生きていてくれたんだね!? ウエエエエエーン!」

 菜々子が助けたジャパロボには高校時代の友達の愛が乗っていた。

「誰だ? おまえ?」

「え?」

 菜々子は愛のことを覚えていなかった。

「私は生まれも育ちも生粋の江戸っ子テロリストだ。おまえみたいな奴は知らんぞ。」

「ええー!? 菜々子ちゃん!? 私のことを忘れたの!?」

 少し菜々子の様子が変だった。


「私も噂を聞いたのですが、東京都は国とは独自にジャパロボのパイロットの養成を行っているとか? なんでも記憶を改ざんしたり、能力以上の性能を引き出すために脳に電流を流して人間を強化しているとか? 」

「ただの噂話でしょう。そんな人体を改造するなど、人が行ってはいけないことですよ。はっはっはっはっは。」

 皇居防衛の指令室で小菅総理と大池東京都知事が語らう。


「愛だよ! 私のことを忘れちゃったの!? 菜々子ちゃん!?」

「知らん! おまえのことなんて! 私の友達はローラ隊の仲間だけだ!」

 菜々子と愛は激しくぶつかる。

「離せ!? 小童!?」

「嫌だ! 離さない! 菜々子ちゃんを二度と話すもんか!」

「なんで、そんなに私にしがみつくんだよ!?」

「友達だから! 菜々子ちゃんは私の大事な友達だから!」

 ずっと愛は後悔していた。第1回東京オリンピック同時多発テロの時、自分が菜々子を一人で行かせなければ、菜々子を失わずに済んだと。

「と、友達!? 私にはおまえみたいな・・・・・・・!?」

 シャキーン!

(菜々子ちゃん。)

 その時、菜々子の脳裏にぼやけているが誰かが自分を呼ぶ声が聞こえる。

「なんだ? 今のは? 痛い!? 頭が痛い!? ウワアアアアアー!?」

 急に菜々子は頭痛がしてきた。

「どうしたの!? 菜々子ちゃん!? 大丈夫!?」

 愛は菜々子の様子を心配する。

「クソッ!? 撤退だ!?」

 菜々子は皇居から戦線離脱する。

「菜々子ちゃん!? 待って!?」

 しかし河童ジャパロボとの戦いでボロボロになっていた愛のジャパロボは動くことができなかった。昔、菜々子が乗っていた時にかかと落としをした箇所が完全に治っていなかったのだ。

「菜々子ちゃんー!」

 愛の叫びが皇居に木霊する。

 つづく。

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