8話編

ミュー「やっと終わったぁあああ!」

アディ「煩いぞ」

ミュー「うっさい!アンタの愚弟のせいで色々大変だったんじゃんか!」

アディ「愚弟は愚弟だが、とりあえず今お前が煩いのは事実だ」

ミュー「こんにゃろう。今回ワタシ頑張ったのに」

アディ「お前はいつも頑張ってるだろ?」

ミュー「え?」



ミュー「テオドールのアホを見てるカスパーは推せる!」

アディ「お前が時々言う推すだの推しだのはいったいどういう意味だ?」

ミュー「……推しは推しだよ?」

アディ「いやだから、意味がわからんのだが」

ミュー「推しは、推しでしか、なくて、……?え?説明出来ない」

アディ「ヲイ」



ミュー「ワタシ、どっちかっつーとお節介じゃなくて興味本位で首突っ込んでる方が正しいと思うんだけど」

アディ「否定はせん」

ミュー「そこはしてくれないんだな、悪友よ」

アディ「事実は事実として認めるべきかと思った。特に最近」

ミュー「ちょっとしたお茶目じゃん!」

アディ「お茶目言うな」



アディ「お前、年頃の乙女を主張するなら、もうちょっとだな……」

ミュー「いやー、立派なお部屋だよねー!ベッドも立派すぎてやばーい!」

アディ「聞け」

ミュー「お城ってどこもかしこもこんな風なんだよね。慣れるまで大変だったわー」

アディ「聞けと言ってるだろうが」

ミュー「頭掴むなよ!」



ミュー「ライナーさんには申し訳ないなとは思ってる。ニートの護衛させたりして」

アディ「ニート?」

ミュー「えーっと、引きこもり」

アディ「なるほど」

ミュー「めっちゃ普通に納得された!」

アディ「お前、基本的に部屋と食堂と俺の執務室以外に顔出さんだろうが」

ミュー「ぐっ……」



ミュー「不思議そうなライナーさんも、首傾げて考えてるシュテファンも可愛い。なんかこう、ぷにっとしてるの可愛い」

アディ「お前は変わらんな」

ミュー「変わるよ!?変わってるよ!?」

アディ「どこがだ?」

ミュー「頭身バランスと鼻の有無!」

アディ「……変わってるか?」

ミュー「アディ!」



ミュー「出汁醤油で作ったすまし汁は美味しかった」

アディ「あの薄味のスープだな。悪くはなかった」

ミュー「薄味言うな」

アディ「別にマズいとは言ってないだろうが」

ミュー「出汁醤油のおかげで美味しいものいっぱい食べられるようになったの嬉しい」

アディ「相変わらず食い気だな、お前……」



ミュー「料理長、熊獣人だから、デフォルメで可愛いクマになってるの楽しい」

アディ「楽しいか?」

ミュー「ワタシは楽しい」

アディ「妙なところに楽しみを見出すやつだな」

ミュー「アンタもデフォルメでライオンにしてもらったら?」

アディ「そうなるとお前は棒人間か?」

ミュー「何でだよ!」



アディ「多少身が付いたところで構わんだろ?そもそもお前は軽すぎる」

ミュー「アンタの基準で言わないで!乙女には乙女の適正体重ってもんがあるんだよ!」

アディ「……おとめ?」

ミュー「毎回毎回その反応すんなー!」

アディ「いまのやりとりのどこに乙女要素が……」

ミュー「うっさい!」



アディ「ライナー相手には誤魔化したな」

ミュー「言えるかい!ちょっと太ってきたのが気になるから、ダイエットのためにも運動をしようと思います、なんて!」

アディ「別に構わんだろ?」

ミュー「やだよ!恥ずかしいもん!」

アディ「今ココで俺相手に大声で言ってるのは?」

ミュー「アディは別」



アディ「……ミュー」

ミュー「……何も言うな」

アディ「流石にちょっと、体力がなさ過ぎだろ」

ミュー「日頃の運動不足のせいだよ……。原因の半分ぐらいはお前だよ」

アディ「は?」

ミュー「移動の時にアンタが担ぐから、歩くことも減ってんだよ!」

アディ「その程度で」

ミュー「なるの!」



アディ「ライナーが焦ってるのは何でだ?」

ミュー「お姫様抱っこで運んでたことじゃない?」

アディ「あぁ、あの子供を運ぶような」

ミュー「普通に横抱きだったから、立派なお姫様抱っこだよ!」

アディ「されてるのがお前だと、その名称が不適切に思えてな」

ミュー「よーし、その喧嘩買ったー!」



ミュー「っていうかさぁ、流れるように取らないでくれる!?ワタシのジュース!!」

アディ「あんな美味いものは最初から俺の食卓に出せばよいものを」

ミュー「聞けよ。取るなって言ってんの!流れるように!」

アディ「細かいことを気にするやつだな」

ミュー「ちっとも細かくないわぁああ!」



ミュー「移動では当たり前みたいに担ぐし、部屋に戻ったらロリババアがいるし!」

アディ「お前の足に合わせてると遅い」

ミュー「ワタシは荷物じゃねぇ!」

アディ「アレが一番安定するんだ」

ミュー「待遇改善を要求する!せめて背負うとか抱っことかに!」

アディ「面倒くさい」

ミュー「この野郎」



ミュー「本性を知らなければ、見た目だけはめっちゃ可愛いんだ……。ゴスロリメイドみたいな服もめっちゃ似合うよ」

アディ「実年齢を考えると色々とアレだがな」

ミュー「それな。あと性格」

アディ「実にイイ笑顔だった」

ミュー「ワタシの心労はマッハだ」

アディ「仕事は出来るんだがなぁ……」



アディ「お前のイメージする服装も大概なんだが」

ミュー「ラウラならそれぐらいやると思った」

アディ「確かにやりかねんが」

ミュー「だろ!?だって、あんなアクセサリー出してくるんだよ!?」

アディ「あいつの趣味だけは未だによくわからん」

ミュー「一生わからないままでいいと思う」



ミュー「流石はツェリさんだよね。頼れるオカンは違うわ……!」

アディ「お前、随分と女官長に懐いてるな」

ミュー「だって、気配りの出来るめっちゃ頼れるオカンだもん。好き」

アディ「怒らせると怖いぞ」

ミュー「それは知ってる。超知ってる」

アディ「そうか」

ミュー「うん」



ミュー「新衣装お披露目ー!襟とスカーフが可愛いよね!パンツスタイルで動きやすいし!」

アディ「その恰好のせいで性別迷子が加速してるがな」

ミュー「アンタはいちいち喧嘩を売らないと気がすまんのか?」

アディ「似合ってるぞ」

ミュー「で?」

アディ「どう見ても少年だが」

ミュー「アディ!」



ミュー「ワタシの頭を手置きと勘違いしてるんじゃないか疑惑」

アディ「そんなことはないぞ」

ミュー「……」

アディ「まぁ、丁度良い高さにあるなとは思っているが」

ミュー「思ってんじゃん!手置きにしてるじゃん!」

アディ「別に良いだろ。減るもんじゃなし」

ミュー「ワタシの扱い!」



ミュー「まぁ、実際ワタシは適当に自分が言いたいことをぶつけただけだから、あんまり過剰評価されても困るんだよね」

アディ「それでも、きっかけはお前だぞ」

ミュー「気のせいでしょ。今まで頑張ってきたアンタやカスパルの方が偉いよ」

アディ「お前は本当にそういうところが、な」

ミュー「ん?」



ミュー「テオドールと少しは腹を割って話せたなら、良かったと思うよ。あのアホと話すことなんかあるのかと思うけど」

アディ「お前のテオドールへの評価が辛口なのはいったい何故なんだ?」

ミュー「いや、あいつの所業を思えば普通だからね?アンタが甘いの!」

アディ「そうか?」

ミュー「そう!」



アディ「あいつには腹を割って話せる相手がいたんだな」

ミュー「ん?」

アディ「最近少し羨ましいと思うようになった」

ミュー「最近……?少し……?」

アディ「何だ、その顔は」

ミュー「アンタ本当に、そういうところだよ……。この滅私奉公型め……!」

アディ「うん?」

ミュー「自覚が遅い!」



ミュー「まぁ、これであのアホの起こした事件は解決だし、しばらく平穏だよね~」

アディ「平穏だったか?」

ミュー「……え?」

アディ「お前、この後(原作3章)の展開を忘れたか?」

ミュー「ぐはっ……!」

アディ「まぁ、頑張って生きろ」

ミュー「激しく他人事!?」

アディ「実際他人事だ」



ミュー「いや、でも、危ないことはないし!大丈夫、大丈夫。あの優しそうなツェリさんなら大丈夫!」

アディ「無意味な自己暗示に必死だな」

ミュー「少しは慰めるとか労るとかしてよ!」

アディ「何故?」

ミュー「そういうとこ!ワタシ頑張ったのに!」


以下、口論が続くので割愛!

(終)

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