6話編

ミュー「前回の引きがシリアスな感じだったので、冒頭もシリアスである」

アディ「こうやって見ると、お前本当に小さいな」

ミュー「違う。私が小さいんじゃなくて、アンタら兄弟がデカいの」

アディ「お前がチビなだけでは?」

ミュー「だ・ま・れ、この2メートル越え兄弟!ワタシは標準身長だ!」



ミュー「ここで、すかさずワタシを安全圏に避難させるために呼んでくれるシュテファン、本当に優しい」

アディ「お前、本当にシュテファン好きだな?」

ミュー「あんな良い子を好きにならないわけがない!」

アディ「見た目はアレでも、お前の三倍は生きてるぞ、シュテファン」

ミュー「良いの!」



ミュー「マジ顔のアディ、観賞用として本当に素晴らしい」

アディ「ヲイ」

ミュー「数少ない推しとしての顔。思う存分堪能させてもらわねば」

アディ「ヲイコラ」

ミュー「テオドールのアホはどうでも良いけど、ここのアディは本当に良い推し……!」

アディ「話を聞け」

ミュー「殴ることないだろ!」



ミュー「テオドールの仕業だって告げたときのアンタの面倒くさそうな顔」

アディ「流石に何度もやらかされると飽きる」

ミュー「数え間違えてるぐらいには面倒くさがってるよね」

アディ「可愛い弟ではあるんだがなぁ……。何故か通じとらんのだ」

ミュー「アレが可愛いとか、お前頭大丈夫か?」



アディ「お前もやる気の失せた顔で人の弟をアホとか言うな」

ミュー「アレをアホと言わずに何をアホと言えと?」

アディ「……まぁ、それはそうなんだが」

ミュー「前から言ってるけど、アンタのその兄バカはどうにかならんかね?アホは排除しようよ」

アディ「……」

ミュー「目を逸らすな!」



ミュー「二人揃って頭ぽんぽんしてくるの何故」

アディ「何となく」

ミュー「何となくかよ。まぁ良いや。この回想のテオドールとカスパルは割と好き」

アディ「そうなのか?」

ミュー「ムカつくアホだけど、流石アンタの弟。少年時代から顔は良いよね」

アディ「そこか」

ミュー「そこ以外に何が?」



ミュー「少年アディも割と好きだよ」

アディ「そうか」

ミュー「うん」

アディ「お前はこの頃からうっかりが多発するな」

ミュー「やかましい!」

アディ「妙な顔をしてるし」

ミュー「由緒正しいぺ○ちゃん顔だから良いの!」

アディ「何だそれは」

ミュー「細かいことは気にしちゃいけないんだぞ」



ミュー「この4人で並ぶとワタシがチビに見える」

アディ「実際チビだろ」

ミュー「ちゃうわい!言っておくけど、ワタシ、160㎝はあるからな!?」

アディ「お前の場合、縦も横も小さいからなぁ」

ミュー「薄っぺらいみたいに言うな。普通体型だよ」

アディ「そうか?」

ミュー「そうだよ!」



ミュー「ユリウスさんの尋問は怖いと思うんだ」

アディ「かなり機嫌が悪かったからな」

ミュー「穏やかそうで実際は血の気が多いよね、ユリウスさん」

アディ「まぁ、時折憂さ晴らしにそこらのモンスターを狩ってるらしいからな」

ミュー「ナニソレ怖い。宰相閣下何してんの」

アディ「楽しいらしい」



ミュー「全然誤魔化されてくれないの、ヒドイ」

アディ「隠し事するお前が悪いんだろ」

ミュー「ワタシにだって、言えることと言えないことがあるんですぅー」

アディ「まぁ、俺の過去がどうのより、お前の話の方が興味があるがな」

ミュー「物好きだよねぇ」

アディ「普通だろ?」

ミュー「はいはい」



アディ「俺だって、人並みに友人のことを知りたいと思う感情ぐらいあるぞ」

ミュー「いや、そういうの見たことなかったからさぁ」

アディ「今まではそういう相手がいなかっただけだ」

ミュー「元パーティーメンバーは?」

アディ「あいつらは、友人と言うよりは、同胞、か……?」

ミュー「ふーん」



ミュー「それはそれとして、当たり前みたいにワタシの皿から盛っていくの止めろ」

アディ「いつまでも食わんから、いらんのかと思った」

ミュー「それならせめて聞いてからにしろよ!」

アディ「次の皿を要求すれば良いだろ」

ミュー「そういう次元じゃない!いつまでもワタシの皿を狙いおって!」



ミュー「まぁ、そういうアンタにだから、ワタシが必要なのかもしれないってのは、悪くないよ」

アディ「ん?」

ミュー「完全無欠の覇王様じゃない、悪友モードのアンタだから、ワタシが側にいられるんだろうなって話」

アディ「お前がいるから、俺がこうして素でいられるだけだ」

ミュー「そっか」



ミュー「そして、安定のエーレンフリート」

アディ「お前、口から変なものが出てるぞ」

ミュー「ワタシの素直な気持ちだから」

アディ「まったく。エレンはいつまでたっても学習しない」

ミュー「それは同感だけども、追い打ちは止めたげて」

アディ「ん?」

ミュー「あいつ、アンタ大好きだから……」



ミュー「何でエーレンフリートの上に落ちたのがワタシの顔の岩なのかはちょっと謎だけど」

アディ「面白いな、アレ」

ミュー「面白がるな。再起不能になるとこだったんだぞ」

アディ「それは困る」

ミュー「困ると思ってるくせに、色々把握してないの勘弁しろ」

アディ「ん?」

ミュー「鈍感め……」



ミュー「お手軽に復活するエーレンフリートだし、ライナーさん超頑張って感じ」

アディ「元々そのために組ませてるからな」

ミュー「そうなの!?」

アディ「そのために士官学校に同時に放り込んだ」

ミュー「同期とは聞いてたけど、わざとだったんだ……。ナニソレ美味しい」

アディ「ミュー?」



ミュー「カスパルの顔面偏差値の高さについて」

アディ「この間からそればっかりだな?」

ミュー「何なのこの世界!出てくる男の顔が良すぎて怖い!いや、顔がイイのは良いんだけども!」

アディ「落ち着け」

ミュー「あのアホの隣に置くのは勿体ないけど、釣り合うの悔しい!」

アディ「落ち着け」



アディ「そういえば、あの商人は戦えるのか?」

ミュー「それなりには使える筈だよ。テオドールの右腕だったし」

アディ「何故そんな優秀な人材があのアホに……」

ミュー「アディ」

アディ「商人の情報網があって頭が回って、さらに腕も立つとか、有望株だろうが」

ミュー「アディ、落ち着け」



アディ「我が城は常に優秀な人材を募集している」

ミュー「知ってるけど、弟の配下を本気で引き抜こうと考えるの止めて。あいつはクーデター派の幹部」

アディ「有能な人材はきちんと配置したい」

ミュー「その変な欲求は引っ込めて!あいつはテオドールにしか付かないから!」

アディ「ちっ」



アディ「真面目な引きに見せかけての、オチがテオドール」

ミュー「この場合、オチはユリウスさん、の方が相応しいんじゃないかな」

アディ「……あいつ、大丈夫か?」

ミュー「……相手がユリウスさんだしねぇ」

アディ「正直に話したら少しは優しいと思うが」

ミュー「少しだけね」



ミュー「ってなわけで、待て次回!って感じ。次回はワタシがカスパルさんと真面目にお話しするターンだぞ!」

アディ「お前に真面目な話が出来るか心配だ」

ミュー「その喧嘩全力で買わせて貰うぞ、くらぁ!」

アディ「事実の指摘だろう?」

ミュー「うっさい!」


以下、口論が続くので割愛!

(終)

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