030作目 雨、塊(つちくれ)を破り。〜退屈な日常から抜け出したかった僕ら〜/宮塚恵一
雨、塊(つちくれ)を破り。〜退屈な日常から抜け出したかった僕ら〜
作者 宮塚恵一
日常は変わらない。それでも——
★★★ Excellent!!! 詩一
中学生の頃はあんなに楽しかった毎日が、高校に入ってから急激につまらなくなった。そういう、高校生のリアルが描かれた物語。
非日常を常に欲する芹沢さんは、雨曝しで壁打ちに明け暮れる女子に目を奪われる。でもそれでなにが変わるわけでもない。
状況はなにも変わっていない。けれども、芹沢さんの中ではなにかが少しずつ変わっていくような、そんな本当に小さな動きがあった。
日常での非日常だなんて、本当はそれだけ小さなものなのかも知れない。あとはその非日常に気付くことが出来るかどうか。それだけ。
本作、芹沢さんと友人との掛け合いが本当に軽妙で、しかも小説らしくない。まるで目の前で高校生が喋っているようなリアルさがあります。かと言ってセリフ中心の小説と言うわけではありません。少ないセリフの中で人物の息遣いを伝えてきます。情景描写以外で人を作品世界に引っ張ることが出来るんだと初めて知りました。
話し方、言葉遣い、切り方などなど、セリフも世界を描く立派な描写として機能すると言うことを勉強させて頂きました。
雨の日の雲の色みたいに鈍い色をした青春をご堪能下さい。
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