救世主 斎藤 礼賛

アボリジナルバタースコッチ

先史

~先史~


世は暗黒時代(ここでは文献・記録に乏しい期間を指す)。


人々は労働により得た財貨を、“蛇”という亜人種に捧げ、対価として蛇はヒトを闇や獣(時として別のヒト集団)から守護し、日々の安寧を提供した。


またヒトは環境の改変と増殖を繰り返し、集団を成しながら互いの領域を超えた交易を行い、知識と富の集積に励み、大地から零れるほど満ち溢れんとしていた。


それでもなお、“蛇”による緩やかな支配は続いた。


彼らの肉体は、まさに神秘的であった。


表皮は、当時ヒトが有していた銅剣による刺突・斬撃を受けつけず、膂力は成人男性の5倍~8倍あった。


また、前肢(掌)と口唇上部には熱を感知する器官(彼らがいうところの“真眼”)を有しており、夜間でもある程度活動することが出来た。


四肢には、毒腺があり、それぞれの先端から毒を分泌した。


“蛇”がヒトから財貨の提供を受け、そのチカラを背景とした軍事的安全保障を提供したことは前述の通りであるが、彼ら自身が徒党を組む、さらに言えば統一したコミュニティを持ち、(ヒトの領域から隔絶したものもあったが)「報酬」に応じてヒトの間に発生した闘争に介入するようになるのに、そう長い時間がかかることは無かった。





引用文献

ヨハン=マウシュヘリット(2583)蛇と鐵,墺太利國,國際社


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