08 狩名更

 手術後の彼女。


 顔も身体も、恋人。でも、脳の半分は、自分と雰囲気の合う、別人。


 目覚めるのを、待った。


 夜。少しだけ、うとうとした。いつでも、起きたときに話せるように。完全には眠らなかった。


 仕事の連絡は来ていない。たぶん、同僚の誰かが肩代わりしてくれている。街は平和だった。


 何度目かの、午前四時。うとうとしていて。

 彼女。

 目が、ゆっくりと、開いた。


「おはよう」


 声を、かける。


「俺が、わかりますか?」


 どっちの、彼女、なんだろう。恋人か。それとも、雰囲気の合うほうか。

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