夢のなかで消して
高橋優美
第1話 『欲情』
それは僕のまっすぐ、遠く離れているけれど目で捉えられるくらいの、それくらいの距離にあった。・・・いた。
僕はそれに向かって歩いてみるが、どんなに近づこうとしても距離は縮まらない。
僕は追いかけた、追いかけた。
次第に焦りを感じて走った。
何の焦りかは分からない。
ただ直感的に、それを追わざるを得なかったのだ。
しかし走っても、それは特定の距離を保ってくる。穏やかに。
僕は疲れて立ち止まる。
それは同時に、動かなくなった。
続く
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