メッセージ イン ボトル

ハル

第1話 メッセージ入りの瓶

ボチャン…


海に瓶を投げ入れる男の子の姿。




瓶の中には


メッセージが入っていた


天国?


未来?


過去?



どこに送られた


メッセージ入りの瓶なのか


それは彼


たった一人しか知らない……





≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒





「お母さん、ふうがの散歩に行って来る!」

「気を付けて行くのよーー」

「はーい」



私、石本 志須霞(いしもと しずか)16歳。


見た目大人しく真面目そうな雰囲気だけど、ギャップが違うと言われる。


でも本当の話なんだけど…………



私には飼い犬に


『ふうが』という名前をつけている。



ゴールデンリトリバーの犬を連れて散歩に出かけた。


いつもと変わらない散歩コースの中、海の砂浜を歩いていると突然スルリと私の手元からリードが離れた矢先、ふうがは駆け足で海の中に入って行く。



「ちょ、ちょっと!ふうがっ!何して……」




口に何かをくわえてきている事に気付いた。




「……瓶……?何か入ってる……」



瓶の蓋を開け、中身を取り出す。


紙だ。



「……英語……?」




所々、消えかけている英語の文字。


語学力のない私は、ちんぷんかんぷん。





次の日、その瓶を持って


親友の


比羅田 和加菜(ひらた わかな)に見せた。



「ねえねえ、何て書いてあるの?」

「……ごめん…私にも…無理…」

「…ええっ!?」

「所々、消えかけてるし…」

「和加菜なら、何とか予測して英訳、翻訳してくれると思ったけど……そうか…」





ある日の事。



「志須霞、近々、パパの友人のお子さんが同居するの。同じ学校らしいから仲良くするのよ」


「同居?へぇー、そうなんだ。分かった」




そして、数日後の休日の午後。



ピンポーン……


家のインターホンが鳴り響いた。



「はーい」


「Excuse me what this home Ishimoto? 」

「I this to day care of Hiroto Shintani」



「………………」



見た目は日本人だけど、ペラペラと英語を話す男の子が訪問して来たものの全く分からない私。


私は玄関のドアを閉め始める。




「おいっ!」

「何か?日本語しか受け付けませんので、お引き取り下さい!」



再びドアを閉め始める。



「待てっ!」

「何よっ!?」

「お前、現役高校生なんだろ?」

「そうですが!?」



「………………」



「語学力ねーのな」


「……ないっ!悪かったなっ! つーか、私、日本人なんで英語でペラペラと話されても困るんですけど!日本語で話してもらえます?」


「はいはい。言われなくても、その方が良いようだな?ここ石本さん宅?」


「はい、そうですけど?つーか、最初からそうしてくれれば良かったのに!で?家に何か御用ですか?」


「俺の事、何か聞いてない?」

「同居する人が近々来る事は聞いてるけど」

「同居する人。俺だな」


「えっ?男の子だったんだ!やだ!1つ屋根の下で男の子と同居?有り得ないんだけど。まあ、追い出す訳にはいかないので、取り合えずどうぞ」


「私、石本 志須霞。16。あなたは?」

「新谷 尋斗(しんたに ひろと)同じく 16」

「同級生なんだ」

「そのようだな」


「あっ!ちなみに私名前と違って全然イメージ違うし見た目と違うからご理解の程宜しく!」


「そうなんだ。まあ…そんな気はしたけど…」

「そう?」



そして母親が帰宅。




「ただいま」

「おかえり。同居人の人来たよ」

「あら、そう?」

「お邪魔しています。今日からお世話になる新谷 尋斗です!宜しくお願いします!」


「こちらこそ宜しくねー。自分の家のように過ごして貰って良いから」

「はい、ありがとうございます!」

「じゃあ、後は家の親にバトンタッチ!っつー事で私は、ふうがの散歩行って来まーす!」

「行ってらっしゃい。気を付けて行くのよー」

「はーい」



「散歩?犬、飼われているんですか?」

「そうよ」

「へぇー、俺も行って来るかな?」

「もし行くなら海の方に行くと良いわよ。家を出て左に曲がって」

「分かりました」




そして ――――




「おーい」



背後から声がし私は振り返り足を止める。



「あれ?尋斗。家でゆっくりしてれば良いのに」

「大丈夫。その前に確認するけど彼氏はいたりする?」


「いないよ」

「じゃあ大丈夫か。いたら誤解招くから避けたいし」


「うん、私はともかく尋斗が私の彼氏って誤解されるんじゃないかな?尋斗がそれで良いなら御一緒にどうぞ」


「あー、そうだろうなー」



私達は色々話をしながら海へと向かい、ふうがの散歩に向かう。



そして、その日の夜は和気靄々で彼を家族に迎え入れた。



















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