4 雄彦の企みを阻止しようと、5人は行動する
雄彦が指定した夜、公園の木陰に芹菜と櫻子は身を潜めていた。杏と真莉愛は私の後を、距離を取りながら付けていた。私達は、雄彦の脅迫めいた言葉から、今夜何かを仕掛けてくると確信していた。
芹菜と櫻子は、ベンチ付近に二人の男を見止めた。一人は雄彦だった。
「おいおい、一人じゃないよ。どうするつもりなの?」と芹菜がささやいた。
そこへ私は、いかにも一人で来たように装って近付いた。
「坂上さん、よく来てくれたね。嬉しいよ!彼は俺の友達だよ。」
「こういうのは、困るんですけど。私は雄彦さんとは付き合う気も、会う気もありません。付きまとうのは止めてもらえますか?」と私は、皆と相談した科白をはっきりと伝えた。
「そうなんだ。じゃあ、仕様がないか。」と彼は友達に目配せした。するとその友達が私を逃げないように行く手を塞ぎ、雄彦が抱き付いてきた。私はそれを必死で振り解いた所へ、4人が駆け付けた。突然のちん入者に驚いたようで、後退る二人を杏が制止した。
「ストーカー?痴漢?警察を呼ぼうかな。」芹菜が言うと、
「僕達は何もしてないよ!花純がいけないんだよ!」と雄彦は声を震わせた。
「花純が何をしたの?何かしようとしたのは、あんた達でしょ!」
真莉愛が言うと、二人はその場から逃げようとした。
「待ってよ!証拠の動画は撮ってあるから、学校に送ろうか、家に送ろうか?あなた達にとっては、警察より怖いんじゃないの?」
櫻子の言葉に二人は観念したが、二度としないという誓約書を書かせて解放した。動画は嘘だったが、私達は結束力の強さを改めて実感した。
それ以来、雄彦は塾を辞めて、私は安心して通う事ができた。それにしても、男は怖い存在だと改めて実感し、男子とは距離を置いて高校生活を送った。
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