2 芹菜が中学時に付き合っていた颯翔の策略に、櫻子が気付く

 次の日に、芹菜の煮え切らない態度を心配になった櫻子は、嫌な予感をぬぐうために、別れるはずの琢海を呼び出した。

 櫻子は内心びくびくしながら、琢海の任侠好きを利用して、義理人情に訴えた。琢海は根が悪党ではなく、しかも櫻子の威勢に負けて話し始めた。それによると、明日芹菜を蓮司の家に連れ込み、他の仲間と悪戯する計画だという。

その話を聞いていて、櫻子はある事に気が付いた。芹菜が付き合っていたバスケ部の舘岡颯翔は、確かN工業高校に進学して今2年生だ。あの時、芹菜を悩まして、嫌な別れ方をしていつまでも付きまとっていた。その事を琢海に問い質すと、颯翔は同級生で、中学の時の芹菜との関係をすべて聞いたという。さらに振られた腹いせに、誰でも寝る女だからと言って、蓮司たちをたき付けたらしい。櫻子はすべてに合点して、犯罪まがいの行為を阻止しようと動いた。


櫻子は琢海と別れると、すぐに芹菜に電話をしたが通じず、メールをしても既読にならなかった。どうする事もできず、一番頼りになる朝比奈杏に連絡した。すぐに坂上花純、南真莉愛も召集して、話し合うことになった。

ファミレスの一角に陣取った4人は、ドリンクバーだけ頼んで首を突き合わせていた。櫻子が琢海から得た情報と中学の時の経緯を話すと、杏がまず口を開いた。

「それって、やばいよね!私たちだけではらちが明かないわ。」

 真莉愛も同意し、警察とか誰か大人の人に手を借りようという事になった。警察は大袈裟になるし、誰かいないかと考えていると、花純が話し出した。

「学校の先生は、どうかな。実は私のお父さんが教員で、N高なんだ。」

 皆は聞いていなかった情報に驚くと同時に、花純の父を頼るしかないと意見が一致した。4人は明日また集合する事にして別れた。芹菜には相変わらず連絡が取れず、櫻子は彼女の家まで行ったが留守だった。

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