貴方も巡り会えるはず

柚李原澪

かつての自分

やりたい事に満ち溢れていた幼い私。

思い出すだけで微笑んでしまうほどである

でも成長するにつれて現実を知り、

夢を忘れていく。


私が読書というものを始めたのは

物心つく前からだという。

幼い頃から絵本が好きだったのは

今でもよく覚えている


そして小説というものを書き始めたのが

小学三年生の夏。

夏休みの宿題として出された自由課題。

そこで自分は思いつくままに、

ただひたすらにノートに書いていく。

面白くて、楽しくて仕方がなかったあの頃

自分の書いた小説が誰かに読んでもらえる

そう思っていたのを今でも覚えている。


そうして夏休みが過ぎ2学期の初めの日

小説の書かれたノートを先生に出して

後日発表会をする事になった。


そして発表会の日を迎え、

自分の名前とノートを渡される

恥ずかしさを覚えながら、

小説を書いた事をクラスメイトに話す

あの時の自分はいきいきとしていただろう

そして自由に見て回れる時間になり

数人のクラスメイトが私のノートを開く

そうして数分が経ちノートを閉じて

私の所に来たクラスメイトは言う


よく出せたね。


あの時の絶望感は忘れない。

自分の書いた小説が笑われたのだから


先生は褒めてくれたのに。

なんで笑うんだろう?


この時の自分は皆褒めてくれると

思っていたに違いない。

だからこそ、絶望感を抱いたのだ。


それからと言うもの何冊もの本を読み

沢山勉強して、小説を書いて。

それらを繰り返していた日のこと。

私は初めてスランプというものに陥る

何も思いつかず頭がもやもやする

書きたいのに書けない…そんな感じ。


あぁ、もうやめてしまおうか。

そう思っていたのかもしれない。

それから小説を書くことはぱったりと

無くなり、小学校を卒業していった。


それから3年、中学3年の秋。

私は1冊の本と出会う。

その本は哲学の本だったがとても読みやすく

中学生の自分でも読めるものだった


その本を読み哲学というものに触れ

自分の中にあった人生観が大きく変わる

今では周りよ皆に合わせ生きてきた。

時には肯定し、また時には否定する。

まるで波に流れるように生活をしていた


でもその本を読んでからというもの

違うものは違う、私はこう思う。

そう口に出せるようになった


自分が1番大切にしなければと思ったのは

自分らしくあること。

周りに流されず自分の意思を持つ事。

それが大切なのだと教えられたのである


また、小説を書きたいと思った。

自分らしくあることが大切だと知った

今ならあの時とは違うものが書けるのでは

そう思いノートに書いていく。


初心に帰る、というのは正にこのこと。

楽しくて仕方が無かったのを覚えている



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