錬金術で僕だけのヤンデレヒロインを造るよ!
綾波 宗水
第1話
あれはまだ僕が小学生の頃。
親友が風邪で休んだために、何の憂いも感じさせない元気ハツラツにいつも遊んでいた休み時間が一変して退屈に。
仕方がないので、図書室に行って、適当に過ごそうと思ったら!
「先生のオススメ」という題目で、いくつかの本が紹介されており、その中に、僕の人生を決定づけるあの名作が!
その本の名は『フランケンシュタイン』
ハロウィン文化が定着したわが国では、あの怪物を知らない人はいないと言っても過言ではない。
当初は単純に、担任の先生のオススメは何かな? といった気軽さで見つけたのだが、その世界観に幼いながらも圧倒された。
休み時間が終わるまでに読み終わりそうになかったので、誰にも渡さないぞと言わんばかりに急いで「貸し出しカード」にハンコを押してもらい、再び読み始める。
僕も理科を一生懸命勉強して、主人公のフランケンシュタイン博士みたいに、人間を造る!
そう決心し、午後からの授業は背筋をピンと伸ばして受けた記憶がある。
作品はSFホラーであり、悲劇的であったけれど、僕は違うぞと意気込んだ。
可愛い女の子を造って、幸せに暮らす!
結婚するもん!
そう心に誓って、ついに今では大学一回生の後期。あの熱は冷めることなく、いやむしろ、理系一筋な勉強の日々を送ったせいか、友達も一挙に減り、勉強の合間に見たアニメなどで知った「ヤンデレ」という素晴らしき属性が性癖になるというこじらせ方をした僕は、本気で大学に通って、本物の錬金術師として、ヤンデレな女の子を造る! と考えた。
錬金術
それは化学の元となった、神秘の技。
かの高名な科学者、アイザック・ニュートンが人類最後の錬金術師と言われていたりもするけれど、ヒトを造るとなると、正攻法では不可能。
だからこそ、大学生となって積極的に始めたのはサークル? アルバイト? それとも恋愛?
いえ、教授に徹底的に媚びてました……
そんな悲しいキャンパスライフも今日でおさらば!
だって、ようやく自習という名目で、実験室を貸してもらえたから!
イヤッホー!!!
ヤンデレ美少女錬金するぞー!
ちなみに、その詳細は企業秘密なんで、日記にも書けないよ! ひたすら暗記したよ!
分量間違えたらバケモノだよ!
「ふぇ?」
「……やった」
「ここは?」
「……ついに!」
「だれ?」
「成功したぞぉーーーー!!!」
「ひゃあ!」
「あ、ごめん、いきなり大声出して。大丈夫だよ、僕が君の恋人の」
「りょう君、ずっと逢いたかったよ」
「どうして名前知ってるの!?」
「分からない。でも、目が覚める前に、
「名字まで……」
「ずっとずっと逢いたかった。生んでくれてありがと」
「生まれてくれてありがとう」
「わたしの名前はシオン! りょう君の努力と想いの結晶だよ! 生まれる前から大好きでした、えへ」
「僕も、君が生まれる前から好き、でした」
「強いヨスガで結ばれて、今日、ようやくこうして手を繋げたよ」
柔らかいー!小さいー!かわいいーー!
「もう離さないからね」
しゅき………
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