第3話
そうか、やはり悪いイメージだったんだな。私は悲しい気持ちになっていると、秘書が聞いてきた。
「社長はご自身の家庭の事でお悩みですか?」
「そうだとも」
「亭主関白と何か関係が?」
「あぁ」
もう、私の悩みに気が付いているかもしれない。言わなくとも、なんとなく質問の意図を理解し始めているだろう。気を遣わずに踏み込んできてくれる時が助かることもあるのだ。
「昔は当たり前だったんだ。でも時代は変わったようだ、私はそれに気が付くのが遅かったな……私は家で威張ってしまっていた」
「もうすぐ次期社長がここへくるだろう?そしたら、私から仕事は無くなる。家での過ごし方を考えていたら、気が付いてしまった。ネットが加速する時代は、新しい考えを仕入れやすいものだ」
「どんな情報を仕入れたんですか?」
「若者夫婦が共に洗濯を干し、ごはんを作り、協力し合う生活が当たり前だという情報だ」
「当たり前かはわかりませんよ?誰かがそうおっしゃっているだけですから、鵜呑みにする必要はないと思います」
「ありがとう。でも、自分は女房に寂しい思いをさせたのではないかと思い始めてね、昔に気が付いていたら良かったものを……」
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