カミガハラ R&G

桃kan

悪意メーター

第1話


 これは誰でも抱えているものの話だ。

 なぁ。人の嫌な行動を見て、気分を悪くしたことないか?


 信号無視を目にした時。

 並んでいた列に割り込まれた時。

 歩きタバコしている人を目にした時。


 誰しも口に出すことはないが、ちょっとは嫌な気分になるかもしれない。何やってんだよ、ちょっとは周りのことも考えろよってな。


 でも同時に思うんだ。


 『まぁオレもやっちゃうしな』


 そんな風に考えながら、自分を納得させて今日もまた1日を過ごしていくんだよ。これが当たり前で、これが当然の日々だって言い聞かせながらさ。


 考えてみれば昔はこんな悶々とした感情は持っていなかった。

 子供の頃はもっと無邪気に日々を過ごしてたくさん遊んで疲れたら寝るって生活を送っていた。身の回りのことだけで自分が充足しているって実感していた。


 そりゃ今と比べりゃすごい不便だよ? 

今は色んなものが溢れている。調べればなんでも検索できるし、誰とだって繋がることができる。


 だからなのかもしれない。情報で溢れているからこそ、誰とでも繋がることができるからこそ、自分の身の回りが希薄になり始めて、一々苛ついてしまうのだ。


 でもアンタはきっと、自分にこう言い訳するはずさ。


 『なんだか……心狭くなっちゃったのかな』


 そんな風に自分が何もかも悪いなんて思っちまうから、アンタも知らないうちに自分が壊れちまってることに気づかないんじゃないのかい、可哀想なことだけどさ。

 


 もう少し肩の力を抜いて、人生過ごしたほうが楽になれるんじゃないか?


 そんな風に考えられりゃ、もう少しマシな人生を送ることが出来るかもしれないからさ。

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