まだ見ぬセカイの回
ハクギンドウの裏、石から出てきたドラゴンフルーツおじさんは、大城さんといった。大城さんは、ドラゴンフルーツには果肉が赤い色と白い色があり、赤いほうは甘いけど柔らかく、白いほうは触感がいいけど甘くない。両方おいしいけどな。などと、独り言のように言いながら赤いドラゴンフルーツをくれた。私は食べながら、確かに甘いなと感じた。そして、そのまま大城さんの後ろについていき、扉から中へ入った。
「あの、やっぱり来たか!って、どうゆう意味なんですか?」
副都心線の渋谷駅を歩いているみたいだった。顔には出さなかったが、糸満市には似つかない近未来なところなので笑っていた。
「新宿とか渋谷の地下鉄の駅みたいだろう。ここがモデルになっているんだよ。ナイチャー(本島の人間の意)はいつも沖縄県を見本に何かを作る。なぜかわかるか?」
・・・知らん。モグモグ。
「沖縄は、アメリカをそのまま小さくしたようなところだから、日本にはない技術が詰まっている。戦争に負けてからアメリカに、えーと、4年間くらいだったかな。アメリカになってたけど、日本に返還ってから、アメリカの技術もついてきたんだよ。その時の名残と言えばいいのかな」
ドラゴンフルーツを食べすぎていたため返答も質問もできなかった。
「簡単に言うと、地下の有効利用技術かな。これを言うと、金城さんはものすごく怒るんだよね。金城さんはタンチャー(短気の意)だしアメリカが嫌いだからね」
誰、金城さんって?ドラゴンフルーツがあともう少しで呑み込めるというのに。
エスカレーターを下まで降りると改札があり、その横に部屋があった。大城さんはその部屋に入っていった。
完全に地下鉄の駅だと思いしばらく見とれていた。券売機はないから商業施設ではなかったのかもしれない。なんて思っていたら、突然、大きなブザーが鳴った。どこからか回転灯の光も漏れていた。
私はあわてて大城さんが入った部屋に入った。
部屋の中で回転灯は回っていた。部屋の奥に大きな地図があり何か所か光っていた。大城さんは誰かとちんすこうを食べていた。
「こっちこっち。この人が金城さん」
「・・・初めまして」
ものすごく小さい声のあいさつになってしまった。金城さんはジャックニコルソンみたいなルックスだった。私は大城さんに何ごとかと尋ねたが、大城さんは笑っているだけだった。金城さんは、なぜかこっちを見ている。私は気まずいのでよくわからない地図をみることにした。
「これ、地上だと地震ってことになっているんだよ」
大城さんが楽しそうに話し始めた。ちらっと金城さんを見ると、まだこっちを見ていた。金城さんの目は、野生動物が獲物を狙うような眼をしている。一言で表すなら「怖い」なのだ。私は金城さんには関わらないようにしようと心に決めた。
大城さんが言うには、最近、沖縄県に地震が頻繁に起き始めたのこれのことだと言っていた。震源とか津波とかは全部嘘だと言っていた。これとはセカイのことだと言っていた。セカイとは、地球外生命体だと言った。
はっ???
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