第4.5話

『では早速ホムンクルスを造って行こうかのう。材料はこちらじゃ』


 オコメヒメは清潔感のある木製のテーブル上に材料を並べた。もちろん事前にアルコール消毒を忘れない。この世界の住人は地球よりも医療文明が発達しているから当然なのだ。


 銀米大吟醸35L、白米20kg、梅昆布茶4L、熊酒漬焼1.5kg、リン800g、塩250g、砂糖100g、出し100g、その他少量の15の元素。


『これに儂の髪の毛を一房加えてっ。と』


「おいっ!ちょっと待てええ!なんだこれは!、まるで今から料理するような材料じゃないかよこれっ!!!」


『やかましいのう。ちゃんとコメンクルスは出来上がるから見ておれ』


「コメンクルスってなんだ!?コメンクルスって!!?」


 オコメヒメは材料を棺桶のような箱に放り込み、蓋を閉じた。

 待つ事三十分。


『そろそろよいかのう。綱編よ。蓋を開けてみるがよい』


 綱編が蓋をあけると。

 全裸のマネキン人形がこちらをにらんでいる。


「こわっ!なにこれっ!!髪の毛も乳首もないんですけどおお!!」


『テレビ放映の際レーザー級の出番がなくてよいではないか。とはいえちとはやすぎたか。一時間ほど蒸らして待とう』


「蒸らすってなんだ!完全に料理扱いじゃねーか!!」


 一時間後。

 腰まで届くロングエアーの女性が完成した。オーバニーソックスの肘上まで届くロンググローブ。そしてフロント・カットアウト(胸開き) のレオタードという井出達である。レオタードはヘソの辺りでベルトで固定しているのでどうやら布製らしい。

 年齢は三十歳前後。胸は大きい。あと尻も。


『ふむ我ながら天晴な出来栄えじゃな。儂の娘なので名を取って姫異と呼ぶことにしよう』


「はい。私の名前は姫異でございますね。ありがとうござります」


 突きたての白米のような白い髪の娘は礼儀正しくお辞儀をした。


『この姫異は儂の力をほんの少しばかり分け与えてある故。愚かな国王ばかりの地球とかいう世界の住人である綱編。お主よりあらゆる点で優れている。よく使ってやるがよいぞ』


「事実だけどさぁそれ。てかこいつ原材料米だろ。大丈夫なのか」


『それともう一つ。夜鳴によればお主は一日に最低1,000キロカロリー摂取しないと即座に死んでしまうらしいぞ。まぁ玄米にして300、400グラム程度口にしてれば大丈夫じゃろうて』


「お、おかゆ!おかゆをください!姫異さんっ!!!」


 綱編は大急ぎでおかゆをかっこみはじめた。


『そうそう。綱編よ。お主に土地。住むための家。それに何よりも大切な種もみを貸し与えよう。ただし利息は貰うぞ。神も飯も食うのでな。そうさの。五公五民の半々でよかろう??』


「はぁ!なんだそれっ!!?」


「綱編様。頬におかゆついてます」


 姫異が綱編の頬についたおかゆを取ってくれた。


『別にお主はこのまま死んでしまっても構わんのじゃぞ?なにしろお主の国もヨーロッパにもアメリカにも若くして死んだ若者が本当に多くてのう。それもこれもお主の世界の無能な国王が悪いのじゃ。民主主義と言うのは無能な王を生み出す精度らしいからのう』


「くそっ!次の選挙では病院に予算を追加する政治家に投票することぞ!!」

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