第6話
真後ろから悪魔のささやきが聞こえた。
「暁烏さん…な、何でこんなとこにいるんですか。さっき二階に行ったのに」
「いやあ、朱狼くん呼んでも全然返事なかったからさー。それがまさか……ククク…」
「ち、ちがうわ。そんなんじゃないわい」
「これさー、他の班員に言ったら朱狼くんどうなっちゃうのかな。どうしよっかなーこれ」
写真のフィルムらしきものをちらつかせて俺に強請りをかけてきた。まさに悪魔の所業だ。本物の悪魔よりわけが悪いのじゃないかとさえ思った。
「さあ、どうする」
この人は人の不幸が好物なのか無邪気な少女の様に笑っていた。
「わ、わかりました。なんでもするんでどうかどうかこのことは……」
「おっ、よくいったーじゃあ手、出して」
俺は今から何をされるんだろう。そんな恐怖で冷や汗が止まらない。
「ほらはやくー」
意を決して手を前に差し出した。
「ゆーび切りげーんまん……」
はっ?
拍子抜けしてなんのことだか分からなかった。指切りげんまんってあれでしょ?小さい子が約束したときにするやつ。とうとう精神まで無邪気な少女になってしまったのかと思ったがその表情は先とは変わりどこか悲しそうに見えた。
「ただいま帰りましたー」
「おっかえりー 」
その声を聴くや否や暁烏さんは玄関にすっとんでいった。
彼のポケットから落ちたフィルムには何も映っていなかった。
俺は…助かったの……か?
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