第21話 勤

「申し訳ありません。

もう一度、名前をお聞かせください」

「minako さんです」

「苗字は、なんと言いますでしょうか?」

「最近、ひと月も経っていない最近に勤め始めたはずです」


押し問答を繰り返して、多分三十分は経ったと思う。

住所が分からない私は、奮発してタクシーに乗り込んだ。

とても親切な運転手さんで、少ない情報しか持ち合わせていない私に、最大限の協力をしてくれた。

無線を使って、他の運転手さんに呼びかけてくれたりもした。


「kashiwara 市で一番大きい病院だね? 

市民病院ではないんだね。

となると、あそこだな。

kashiwara 総合病院というのがあるんですよ、民間だけれども。

公立病院じゃないわけよね。

了解! すぐですから、ほんのニ、三分で着きますから」

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