第4話 大義名分
老婆の家の修復は見送られました。ひとり寝の状態では、いつ何(なん)時(どき)にみまかることになるやもしれません。そのような人でなしなことはできぬと、村人の間で大論争が起きたのです。と言いましても、賛否の議論が起きたと言うことではなく、どうやって老婆の面倒をみるかという方法論でもめたのでございます。
結局のところ、他人を交えての食事を禁じた風習が、この老婆に関しては破られることになったのです。
「お婆さんは、村全体の身内じゃから」というのが、その大義名分でした。
こう申してはなんですが、実のところ、村人たちは老婆を歓待しているのではないのです。老婆にまつわる噂で、歓待しているのです。ですが信憑性のある噂ではありません。むしろ眉唾物と考えた方が、良さそうです。
いつからその噂が広まったのか、分かりません。誰が言い出したのか、それすら定かではありません。しかし確かなことは、半信半疑ながらも村人全てが、この噂を信じていることです。
がしかし、一割でも二割でもそれが真実のことなら……。
あなたならどうします?
噂だからと打ち捨てられますか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます