ブルーの住人 第1章 ブルー・ぼーん

としひろ

第1話 前置き

 このお話は、先日のこと、ある女性から聞いたものです。お年は、そう八十を越えられているはずです。時折認知症かと疑われるような言動がありますが、平生はしっかりと生活を営まれています。

 正直なところ、このお話の真偽の程は分かりません。しかしながら、さもありなんと思えたので、皆さんにもお知らせしようと考えました。


 山間の古びた田舎に、一人の老婆がおりました。身寄りのない天涯孤独の身の上だったそうです。いえいえ、十年程前までは娘夫婦と孫が二人の五人家族だったそうです。そうです、覚えておいでのことと思います。あの大地震で、甚大な被害を被った地にお住まいでした。


 たまたま隣県での小学校の同窓会に出席中だったこの老婆だけが、その難を逃れたとか。あ、別にその災害に関してのお話ではありません。それはそれで哀しい出来事ではあります。しかしある意味では、より哀しみを覚えるお話なのです。

 前置きが長くなりました、では。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る