第29話 ナクソスへの応援コメント
日野原 爽さま
こんにちは。
アリアドネはクレタを出ても、王女たる振る舞いをすることしかできなかったのですね。それこそが彼女を彼女たらしめていたと。
彼女の生きざまは強烈な反発と激しい思慕を招くこと必至でしょう。テセウスの心に怒りと恋慕をもたらし、自分もまたテセウスに引き寄せられる。そして当然の帰結として訪れる別れ。描かれないアリアドネの心情が余韻となって迫ってきます。
作者からの返信
佐藤宇佳子様
アリアドネは傲慢で残酷で強情で欠点だらけですが、正直で勇敢ではあります。ミノス王が婚約者に選んだ男よりは、テセウスの方がずっと相性が良かったはず。あの婚約者と結婚してたら、いずれ血を見たでしょう。
それでも、ナクソスで、テセウスは正しい行動をとったと思います。彼にとって都合が良かったのは確かですが、あの行動は、アリアドネにとっても、そしてアテネ市民にとっても、一番いい結果だっただろうと。(作者が少々、テセウスを贔屓しすぎというのは認めます。ギリシア神話では、オイディプスと並んで一番の英雄をあまり悪くは書けませんでした。)
海の彼方へ消えていく船を見つめるアリアドネの気持ち、私のつたない表現力では描写できません。「余韻となって迫ってくる」と感じていただいて、作者冥利につきます。
コメント、ありがとうございました。
第28話 再び、港への応援コメント
日野原 爽さま
こんにちは。
奴隷であり、しかも耳役。アリアドネ王女以上に、絶対に国外に出してはならぬ人物だったのでしょうね。何かあれば真っ先に処分されるというのは彼自身わかっていたことかもしれませんが、幼い息子を残してというのは、さぞかし心残りだったことでしょう。
イカロスくんの隠し持つ、大きなふたつの卵が気になります。
作者からの返信
佐藤宇佳子様
コメントありがとうございます。権力者というのは、いつでも勝手なものですが、相手が抵抗できないことを知っていると余計に酷くあたるように思います。耳役は、精一杯の抵抗を示しました。王に従わず、テセウスに賭けてラビリンスに妻と息子と共に入った。奴隷にしておくのがもったいないくらいの勇気を示したと思います。脱出の最後で殺されてしまいましたが、それは運というもの。私は、良くやったと思ってます。イカロスには、運命の女神はもう少し優しいかもしれません。耳役とその妻の為にも。
第26話 ミノタウロスへの応援コメント
日野原 爽さま
こんにちは。
ミノタウロスを殺すのは不可能とは、そういう意味だったのですね。亡くなっているから、そして膨れ上がった『ミノタウロス』の噂をこの世から抹消することはできないから。
角のある奇形児ならば、確かに、幼いうちに亡くなってしまう可能性が高そうです。ミノタウロスの逸話を現実的にとらえるなら、この展開はいかにもありそうだと思ったのでした。
作者からの返信
佐藤宇佳子様
そうなのです。噂ほど怖いものはない。SNSを持っている、現代の私たちの方がよく知ってるかもしれません。そうして、ミノス王は、その噂をうまく利用しました。王には、戦争する必要があったというだけで、表向きの理由など、なんでも良いのでしょう。外聞のいい理由を、施政者が都合よく作りあげます。時には全く無自覚で。
小さな角の生えてるミノタウロス、可愛くないですか? 私は結構、気に入ってるイメージです。
コメント、ありがとうございました。
編集済
第25話 ラビリンス 其の二への応援コメント
日野原 爽さま
こんにちは。
イカロスくん、暗闇のなかでロープを落としてしまい、たったひとりでじっとその場で助けが来るのを待てていたというのは、実はかなり肝の据わった子ですね。子供とは言え、死ぬような発作に何度も見舞われているだけに、強いのかもしれません。でも、暗闇から見たこともないオートマトンが現れたら……これは泣き叫ぶほどこわくはなかったでしょうか。
なかなか姿を現わさないミノタウロス。そしてオートマトン。この迷宮が真に隠しているものは何なのか、気になってきます。
作者からの返信
おっしゃる通り、イカロスがオートマトンを怖がった可能性は、確かにありますね。私は考えなかったんですが。
まだ、子供だったこと、真っ暗闇だったのがかえって良かったのかもしれません。出口はないか、とあたりを手探りしているうちに、何かにふれた。人の手、人の形をしているので安心したのかもしれません。または、オートマトンが何か、安心させるような言葉をかけたかもしれない。もう少し先で、このオートマトンのかっての役割が明らかになります。それからすると、優しい言葉、仕草があったとも考えられるか、と思います。耳役は、そんなこと全く知らずに、ただ、通り抜けられる、というだけで送り込んだのですが。
コメント、ありがとうございます。
長い話にお付き合いいただいて、本当にありがたいです。
第20話 トーナメントへの応援コメント
日野原 爽さま
こんにちは。
テセウスがポントウス将軍に競り勝ちましたね。すり鉢状の競技場の中央で、テセウスとポントウス将軍が静かに力の限りの死闘を繰り広げているのが見えるような描写でした。
右腕の骨が見えるほどの大怪我を負いながら、立って自力で歩くというのが、もうすごいですよね。
作者からの返信
佐藤宇佳子様
続けて読んで頂いて、ありがとうございます。「見えるような描写」なんて過大なお褒めの言葉を頂いて、感激しています。
武術の経験なく、しかも運動音痴で、身体の使い方が全く分かっていない人間が、懸命にあれこれ想像して作りあげた戦闘シーンでした。
古代の人間は、現代よりもはるかに苦痛に強かったのではないかと思います。麻酔なしで大概の傷は治したようですし、女性の出産も、一人で産んで、その後すぐに畑仕事をしていたとか、もう、超人的だと思いましたが、そうでなければ生きていけなかった、厳しい時代だったのでしょう。
コメント、ありがとうございました。
第17話 工房 其の二への応援コメント
日野原 爽さま
こんにちは。
オリハルコン! クレタ島の神話の世界が実写ふうに、でもどこかほのぼのとした牧歌的なイメージを漂わせながら語られているところに投げ込まれた未知の動力源。さすがに、生きた人間には使えないのですね。
作者からの返信
佐藤宇佳子様
いつもお読み頂いてありがとうございます。
ダイダロスは、ギリシア神話で最優秀のメカニック・エンジニアだと私は思っています。ねじや車輪を扱わせたら彼の右に出る者はいなかったと。
ただ、細工を動かすには動力が必要です。私もさすがに電池があの時代にあったとは思えませんでした。ただ、失われたアトランティスには、オリハルコンという謎の金属があったということで電池替わりに借用しました。現実に、電池もなしにピラミッドを作ったと思うと、古代には私たちの知らない動力源があったのかもしれないと想像が膨らみます。
佐藤様のご指摘で、もしかしたら、人体にも使えたかも、と思いました。現代のペースメーカーは機械で心臓の代わりをできるのですから。もし、優秀な医者がダイダロスと組んだら、オリハルコンでペースメーカーができたかもしれません。そう思うと楽しいです。
第5話 迷い谷 其の二への応援コメント
日野原 爽さま
こんにちは。
結界をスイッチ一つでオンオフできるという設定がおもしろいです。
そして、鞭のシーンの生々しさ! しばしば小説で見かける鞭、ぴしりと鞭打つくらいで、一体どんな罰になるというのか?と思っていましたが、二十回で…五十回で…七十回で…のくだりに唖然としました。そんなに破壊力のあるものだったのですね。
アリアドネの傲慢さと豪胆さから、いかにも生まれながらの支配者という雰囲気が感じられました。
アリアドネとテセウス、衝撃的な出会いですね。
作者からの返信
佐藤宇佳子様
コメントをありがとうございました。結界は、現在の警報システムから考えました。あの時代に無理だろ、と言われるのは承知の上です。ただ、クレタ島には、ダイダロスという名工がいたわけで、彼ならそれくらいの細工はやってのける、なにせ、ラビリンスを作った人ですから。かなり、強引な設定、面白いと言って頂けて嬉しいです。
鞭打ちについては、アメリカ南部の黒人奴隷の背中の写真を見たことがあります。鞭の跡、かなりひどいものでした。昔の出版物でしたから、フェイク画像ということはないでしょう。(ここで、ふと、AIが発達した現在では、逆説的に、ローテクだった昔の書籍の方が信用できるかもしれないと、考えました。おかしな時代になりました。)
二十回、三十回、五十回というのは、英国の芝居で読みました。英国が囚人をオーストラリアへ追放していた時代、その輸送船内で反抗した囚人への罰則の鞭打ちの描写でした。戯曲そのものはフィクションですが、かなり綿密に実態調査の上で書かれた台本でしたから、事実から大きくかけ離れてはいないと思います。人間は同じ人間にたいしてこんなにも酷いことができる。恐怖です。
アリアドネとテセウス。神話だと、アリアドネがテセウスにあっさりと惚れて、糸玉を与えることになってますが、そう簡単じゃないはずだと考えて書いた物語です。この後もお楽しみいただけると幸いです。
第3話 迷い谷 其の一への応援コメント
こんにちは。アリアドネ王女が登場しましたね。当時女性にどの程度の自由が与えられていたのか、気になるところです。アリアドネ王女のこのやや奔放にも見える行為が受け入れられるものだったのか、王女でなかったら到底許されるような行動ではなかったのか。
いずれにしても、現代人の私にしてみれば、気風の良い好感の持てる女性だと感じられます。
作者からの返信
佐藤宇佳子様
また、拙作にお越し頂き、ありがとうございます。
「迷宮の神」はかなり昔に書きました。当時、一番関心を持っていたテーマを真正直に書いた小説で、あまり、史実に忠実ではありません。大昔にクレタ島やクノッソス宮殿には行ったことがあり、その風景や印象はそのまま描写したつもりではありますが、人や社会は私の想像の産物です。
現実には、当時のアテネの女性は、ほとんど家の中にいて、外出は稀だったようです。アテネでは日常の買い物も男性の仕事で、劇場で演劇を見るのも男性のみでした。アテネの女性が家の中にこもっていたのは、アテネ市民権が与えられるのは、両親ともにアテネ市民の子に限られたためと言われています。そうはいっても、男ばかりじゃ殺風景だと考えたらしく、宴席にはヘタイラと呼ばれる女性が侍りました。楽器や社交術に優れた外国籍または、奴隷身分の女性たちでした。古代ギリシアに、日本の芸者のような役目を持った女性がいたのは、面白いと思ってます。
アリアドネとテセウス、ラビリンスとミノタウロスの話はギリシア神話のなかでも魅力的な話だと思います。私なりの解釈ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。コメントありがとうございました。
第30話 エピローグ への応援コメント
日野原 爽さま
こんにちは。
ダイダロスとイカロスくんに救いが準備されていたのは嬉しいことでした。あの青い卵が竜の卵だったとは。ラビリンスには本当に魔物が潜んでいたというわけですね。イカロスくんの体が心配ですが、ダイダロスが技術をいかんなく発揮できる環境であれば、彼が生きている限り心配無用でしょう。
アリアドネ王女にもまた、救いが準備されていました。置き去りにされたことが彼女の心にどんな傷を負わせたかは想像もつきませんが、ディオニソスに手を取られたとき、これまでの鬱屈は、陶酔、狂気そして新たな情熱に塗り替えられたのかなと感じます。二本の小さな角が、彼女があるべき姿に戻れたことを象徴しているようにも思えたのでした。
印象的なお話でした。読ませていただき、ありがとうございました。
作者からの返信
佐藤宇佳子様
お読み頂いてありがとうございました。
私はギリシア神話が好きで、これは、若い頃に書いた戯曲が元になっています。場面転換に、まだ、戯曲の構成が残ってる、と今回、読み直して思いました。
テーマは、町と荒野、文明と野生、理性と情熱、アポロン的なものとディオニソス的なものといった相反する二つの力の相克です。テセウスとアリアドネにその二つの力を代表させてみました。
随分、身の程知らずの大きなテーマでした。人間は所詮、この二つの衝動に引き裂かれながら生きていくしかないのだろうと、今は思っています。
ほとんどの登場人物は元の神話に出てきます。ただ、王の耳とその家庭は私の創造です。語り手の必要性から生まれてきたのですが、この時代の労働のすべてを担っていた奴隷の境遇への同情から、段々に彼らの話も膨らんでいきました。ポントウス将軍とオートマトンも、神話には出てきません。
最後、ダイダロスとイカロスの物語、竜の卵は私の創造です。この二人には幸せになってもらいたかったのです。アリアドネとディオニソスの出会いは神話そのままです。仰る通り、ディオニソスに出会った時、アリアドネの本分が戻ってきたのでしょう。神話は、そしてフィクションは、不条理で混沌とした現実の中に隠された真実を垣間見せてくれるもの、と思っています。
長いお話にお付き合い頂き、有益なコメントを頂きました。改めて、ありがとうございました。