弱者の頂点

ワンダフル

プロローグ

強者であれ

この世は一部の強い人間と多数の弱い人間でできている。強きものは、全てを手にし、弱きものは強きものに従う。人間は太古の時代からこのルールは存在する。むしろ、受け継がれてきたとも言えよう…



強きが全てか?



もちろん



強きが全て



ならば弱き者は強者になれぬのか?



答えは否!



これは、弱者が強き者へとなる。反撃の物語である。







「おい、お前…今日金なくてよぉ。俺たちに分けてくれよぉ…金、、、」


「お、お金なんてありません…ゆ、許してください。」


とある町の路地裏、不良3人とそれに絡まれている少年が1人。

主人公は、この絡まれている少年。天野 昴流(あまの すばる)である。アニメやゲームが好きで喧嘩のしたことない温和で優しい高校2年生。


「おいおい、哲也さん相手に…金を出さねぇだってよ。」


「こいつ終わってるぜ。哲也さんやってやってください。」


脅しをかけてる男がリーダー格で、後ろのふたりが取り巻きという図だろう。そしてそのリーダー格の哲也と呼ばれてる男。神田 哲也(かんだ てつや)は、ここらでは有名な不良。よく、弱いものから金を巻き上げている奴ではあるが、喧嘩のレベルはピカイチ。やっていることは小物だが喧嘩のセンスはピカイチなのだ。通称「巻き上げの哲」どんな相手からでも金を巻き上げる力を持つからこの異名らしい。


「おい、お前のようなオタク小僧をいたぶる趣味は俺にはねぇ。もう一度聞く…金を出せ!!」


「い、嫌です。お、お金なんてありません。」


「じゃあ、痛い目みるか?」


「そ、それもご勘弁を…」


哲也は、昴流の様子を見て、イライラしている。ハッキリとしないその態度、、、でもさっさと金を出せと言っても、持ってないの一点張りで、ムカついているのだ。


「ハッキリしねぇやつだ。じゃあ、、、ボコされてろ。」


「ーーひっ」


哲也は、右腕を振りかざし、ハンマーのように昴流に叩きつけようとする。昴流にとってその拳は、恐怖もあいまってとても大きくみえる。咄嗟に自分の頭を守るようにで頭を覆う。その一撃をくらうと悟ったその瞬間。



「あれっ?こない?」



一撃がこなかった。少し不思議に思い、頭を上げると…そこに見えるのは、哲也の後ろに立ち、腕を掴んでいる。自分と同じ身長くらいとと思える小柄な男の姿。



「だれだてめぇ!おめぇは関係ねぇだろ!! 」


「誰だって?金剛 力也(こんごう りきや)正義の味方、、だと思うぜ」


なんてニコッと笑いながら掴む手に力を入れる。


「ーーッ、おい、陽! 廉! はやくそいつをどかしやがれ!」


力也は、そっと哲也の腕を離した。その瞬間。哲也は、力也の方を振り向き、構えをとる。その瞬間、取り巻きの2人が倒れているのが見えた。一瞬ゾッとしたと思う。


「お、お前ら…?…あいつらよりも俺の方が強え!関係ねぇがな」


昴流は、珍しい光景を見た。不良のリーダーの男が…その金剛 力也と名乗る男を見て動揺している。昴流の目にはこの時の様子が深く焼き付いたという。


「それでもやろうと思うか?じゃあ…」


力也の雰囲気が変わった。先程までとはまるで違う。昴流の目にはライオンやトラ、ジャガーのような獰猛な大型肉食獣のような姿に男が見えた。それは、哲也も同様だろう。人に備わっている危機察知能力、保護の本能が、そう見さしているのだろう。


「仲間までやられて、今更引けるかよ!! 」


哲也は、右腕を大きく振りかぶり、右拳を放つ。哲也の身長は180センチに対し、力也の身長は164センチ、リーチを見るとその差から誰しもが哲也の有利を思うだろう…しかし、、


ゴンッ!


その拳に対し、力也は、拳を避けながらも、一歩前に詰める。そして、拳と共に向かってくる体に合わせ、左の掌底。左手のひらの1番硬い骨の部分で、顔面にカウンターの一撃。哲也は、何が起きたか分からなかっただろう。自分が殴ったと思ったら手のひらで自分の視界が覆われ視界が暗くなったと思ったら。そのまま意識を失ってしまうのだから。


「げっ、意識飛ばしちまった…拳は使わないようにしたんだが…おい!お前!今は逃げるぞ!警察に見つかったら面倒だ」


相手が完全に伸びたのを見て、慌てるように昴流を連れて逃げる。



昴流はこの時ヒーローに出会ったと思った。そして、この出会いが彼の運命を変えることをまだ知らない。

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