第2話 最強の魔王アンドレアス

 魔王軍本陣。高台に設営された本陣、そこに置かれた椅子に座り、戦況を眺めるのはアンドレアス。その容姿は白髪で整った顔立ちに鋭い眼つき、全身をトゲトゲしい漆黒の鎧で覆っている。冷たい印象を与える彼だが、その燃えるような赤い瞳からは覇気があふれている。


 そんなアンドレアスの傍にローブを纏う細身の男、妖艶な女、鎧を着た少女、の三人が控えていた。


 そんな本陣に爆発音が響く。辺りが騒がしくなり、親衛隊員の一人が魔王の元まで来ると跪き。


「ご報告申し上げます。現在本陣に人族たちよる攻撃を受けています。敵は少数で全力で排除に当たっているのですが、勇者が多く混ざっている様で……そ、その――」


 言いづらそうに口ごもる親衛隊員の言葉をアンドレアスが遮った。


「其方たちでは荷が重いのであろう?」


 そう言い、まるで石ころでも見るような冷たい視線で親衛隊員を見つめるアンドレアス。


「も、申し訳ありません! 魔王様、お許しを。何卒お許しを!」


 恐怖に顔を歪ませ頭を低く下げ、必死に謝罪する親衛隊員。そんな親衛隊員を眉一つ動かす事なくアンドレアスは告げる。


「良い、気にするな。全ては手筈道理だ」


 アンドレアスの予想外過ぎる言葉に、親衛隊員が驚きの表情を浮かべるが、アンドレアスは気にすることなく続ける。


「では、勇者たちを出迎えるとしよう」


 そう口にして、椅子から立ち上がり歩き始めるアンドレアス。傍に控えていた三人が無言まま、それに付き従う。そんな光景を親衛隊員は唖然とし、見送るだけだった。

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