箱庭戦争 隣の芝生は青く見える。

ウメヨン

第1話 初めのガチャが良ければゲームは続けられる。

シロウの目の前に女神がいる。

何故女神かわかるかって? 首から『女神(スゴイ!)』って札を下げてるからだ。

『女神に会う=ガチャが引ける』との事だから、最初のガチャのチャンスなのだろう。

後光が金色だ。テンプレなのか、あるいは、最初はちょいと強いガチャというよくあるやつなのか? 


「あなたは何を欲しますか? 強大な敵を倒す力を持つ者、仲間を守る的な者、魔法を使えちゃったりする人・・、回復?、それとあれか、色んな装備?」


後半が適当だ・・。

最初に会った女神なのでこれが通常仕様かは不明だ。見た目はクール美女なのに・・。キャラが固まってないのか?


「何?早く決めてよ。決めないと勝手に選ぶからね。私に会えるのは結構な確率なんだから」


ツンデレなのか? ツンツンでとんがったままなのか? こちらが無言なのに話しかけてくるのはデレ要素だから、きっとツンデレだな。

武器も選べるのか、相棒武将を引いても弱ければ意味がない。武器は弱いものでもその分は強くなれるしな、、。


「もう、早く・・・」

ボンッと音がして、目の前の女神が縮んでいく。


「ゲッ、変身解けた! 見たわね、変な所触ったら許さないんだから」


女神がクール美女から小学生に変わった。見た目は女神に相応しく幼くても整った顔立ちをしている。

俺ロリコンなのかな? と思った事があるが、見比べるとさっきの美女がいい。

良かった俺はロリコンではない。今なら言える! 俺はロリコンじゃないぞー!


「ちょっと何か言いなさいよ。それと変な所触ったら許さないんだからね」


繰り返し言われる触るな宣言。そう言われると触っても良いのかと考えてしまう。ちょっとお触りありなのか? 既にハーレムルートが始まっているのか?


「変な所触ったりはしないよ」


「やっと喋った!でも、そう言って変なところ触るんでしょ。男の人はみんなそうって聞いてるんだからね!」


『女神に会ったら、女神に触れよう! 新しい仲間や武器が現れるぞ』説明文に書いてあったな。何処に触れるとは書いて無かったから、欲望丸出しか・・・嫌いじゃない。


しかし、触らないと言ってしまった。

どう巻き返して変な所を触ろうか? 或いはお決まりの頭ポンポンが無難か? 『あなたはいい人ですね』とか言われちゃってガチャに影響あるかも。


「女神様は名前はあるのですか?」


「言うわけないでしょ。せめて10万人都市にして、大聖堂を建ててから、聞きなさいよね」


情報を貰った気がする。覚えておこう。


「早くしなさいよ。ほらこの手に触って」

そう言うと女神(幼い)は身を乗り出して手を出してきた。


「ぎゃっっ」

女神は少し高い台に立っていたので、身を乗り出した弾みでバランスを崩した。


思わず駆け寄り抱きとめる。美女のままであればさぞかし良い抱き心地だったろうが、腕の中にいるのは将来有望とは言え小学生だ。

敏感な俺でも何もたたない、いや、フラグ的な何かがだよ。


突然、空が暗くなったかと思うと、光が差し、空から女性が降りてくる。さながらスポットライトを浴びたスター様が降臨された様だ。

そうか、女神に触ったからガチャを引いたのか。


女性はゆっくりと降下し、目の前に降りた。長い銀髪に抜群のスタイル、来たなコレ、一発目のガチャでやってやった。


「我が名はリュシータ・トゥエル・ウル・ラうっ」

女性がとんでもない事を口にし始めたので、急いで口を塞ぐ、

「おい、女神。権利関係は大丈夫か? 」

「ハンケン?」

あざとい。首を傾げて上目遣いで見ながらの返答。全てを許したくなる。

「おいっ! その名を言うなよ。言わずに自己紹介だ。出来るか」


シロウの異様な迫力にビックリしているのだろう、降臨美女は口を塞がれたままで素直にコクコク頷いている。

降臨美女の口から手を離す。柔らかかったな。きっと今日は手を洗わない。


「いきなり女性の口を塞ぐとは、見込みがある。私はムースカだ」

さっきと名前が違うし、こすっている。大丈夫、OKラインだ。

「職業は管理人だ」


「ストップ、ストーップ。キャラクターのステータスとかは探りながら進めるのが、決まりなのっ。言わないで!」


「「チッ」」


「舌打ちされたの? シロウはともかく、ムースカまで!」

女神涙目だ。部屋の隅に行き体育座りをすると顔を両膝に埋めて、右側に見えるドアを指差している。

もう出て行けと言いたいのだろう。


「女神様、あなたと出会えた事に感謝します。大変失礼な言葉遣いをしてしまいました。あなたのお人柄があまりにも可愛らしく思えてしまい、ついつい甘えてしまいました」

シロウが言うと、両膝に落とした顔が少し上がったが、そこまでだ。  

足りないか。ムースカに目配せする


「女神様、私は長い間、城に縛り付けられておりました。本当に長い間。やっと解放されたのです、浮かれてしまい、考えに考え抜いた自己紹介をしてしまったのです。浅はかでした。私を呼んで下さった女神様への感謝は変わりません。本当にありがとうございます」

女神の顔がまた一段上がったが、まだ顔を上げたという感じではない。

あと一撃か、、、面倒だ。


「では私達は参ります。願わくばもう一度貴方様に出会い、この度の事を謝る事が出来ましたらと思います」

シロウはそう言い、ムースカに行こうと促すと扉に向かった

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