1964年ロレックス
この歳になって誕生日祝いなんて、一体何がめでたいものか、と父に叱られる気がした。しかし、毎日ソファに座ったまま何をするでもなく、ただぼうっとしているだけの父を見ていると、私はこのまま放ってはおけない気がした。
「勝手に持ち出して悪かったと思ってるよ。修理屋に行って直してもらったんだけど」
私は鈍い光沢を
「おお」
父は小さく
「この音だよ」
父は立ち上がると、珍しくスーツを着て帽子を被った。
「ちょっと散歩に行ってくるよ」
「ああ、いってらっしゃい」
「春雄」
「何?」
「ありがとう」
父はにっこりと笑った。
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