歌舞伎を観て帰ってきたお父さんがウザい

「ただいまー」

「あ、お父さんが帰ってきた。歌舞伎どうだった?」

「うん、まあまあ。それより腹減ったよ…」

「そうなんだ。今日はお父さんの好きなハンバーグだって、お母さんが言ってたよ!」

父はダンッとフローリングの床を足で叩いた。

「なんと!」

目がギョロリと動く。

「あ、なんと!あ、ハンバーグにいい?ハンバーグにいい?あ、でござるで、あるかあぁ?」

ダンッとまた床を踏み、首をぐるりと回して手を前に突き出した。

「早くしないと冷めちゃうよ?」

「むむ?」

父はゆっくり小首を傾げ、

「早くせねば冷めるとは、こはいかに。あ、ポン!」

前を向く。

「あ、ポン、ポン、ポン!」

ててて、と10cm進む。

「あ、早くせねばハンバーグが冷めるとはあぁ、これ、いかにいいいいいいぃ!!」

「馬鹿なことやってないで、さっさと食いな!」

お母さんがやって来て、お父さんの耳を引っ張りながらリビングに消えていった。

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