お化け屋敷
お化け屋敷ほど「怖くない」ものはない。
そんなふうに西村は思っている。
例えば、受付にはこんなふうに書かれている。
<お化けは役者です。決してお客様の身体には触れません。なので、近づいて来ても殴ったり物を投げたりしないよう願います>
案の定、西村は何度もお化けに脅かされたりはしたが、命の危険を感じることはなく出口までやって来た。
「これにて一部は終わりでございます。続きまして二部へお進みください」
二部もそこまで代わり映えすることもなく、西村は無事に出口までたどり着いた。
「続きまして、三部へお進みください」
いったい何部まであるのかと西村はスタッフに尋ねた。
「十部までご用意しております」
西村は心を決めて、十部の出口まで足を進めた。かれこれもう二、三時間はお化け屋敷の中にいるだろうか。
「これにて一章は終わりです。続きまして二章の一部からお楽しみください」
西村は嫌な汗を書き始めた。
本当の出口はどこなのか。
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