炎上東京タワー
巨大隕石(直径10km)の軌道計算が終わった。
落下地点は東京都心。
3800万人が住むこの都市圏は、間もなくクレーターと化すだろう。
大パニックにより交通は麻痺した。
打つ手はないと誰もが絶望した。
それまで沈黙を保っていた東京タワーは「我れが行く」と言った。
「ダメです。あなたは東京のシンボルなんですよ!」
周囲が止めても、東京タワーは我が身を発射した。
「なぜ、ですか…?」
最後にスカイツリーは唖然と尋ねた。
「愛するこの街を守れずして、何が、何が、シンボルかああああ!」
東京タワーは赤い身を大気との摩擦でさらに赤く燃え輝かせ、一直線に巨大隕石を宇宙空間まで貫いた。
夜の東京はその瞬間だけ真昼のように明るくなった。
その光の中で東京タワーは懐かしい声を聞いた。
「よく頑張りましたね、東京タワー。あとはあの子に託しましょう」
「…江戸城、さま」
彼らはスカイツリーを優しく見下ろした。
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