敏感 超聴覚系な私にはわかってしまう、よくわからないことを恥ずかしがらずに積極的に聞いてくるヨツ様……の気持ち
神帰 十一
第1話 超聴覚系って何かしら?
「–––––それは何ですか?」
医者の言った聞き慣れない言葉に、イリヤは思わず問い返した。
「あなたの能力の系統ですよ。あなたは耳が良い」
銀縁のメガネのつるからグラスコードを垂らした医者は、ニッコリと微笑んでイリヤの質問に答えた。
「ご存知なかったのですか?ご自身が
「モダニア? ですか…」
「そうです。 モダニアはお分かりになりますよね?」
銀縁眼鏡の医者は、イリヤのカルテに書いてある
イリヤはゆっくりと頷くが、心ここにあらずと言った様子で、そんな様子を見た銀縁眼鏡の医者は、本当にイリヤが
*
「モダニアって、……その、便利で都合のいい力のことですよね?」
イリヤは
「えっ、えぇ……まぁ、たしかに。後から設定……と言いますか、環境の変化によって……と、言う理由が一番多くなるようですが、発揮される能力も変化する都合の良い力のことです」
銀縁眼鏡の医者は苦笑いをしながら 受け応え、さらにこう付け加えた。
「そもそも、
そう言って、銀縁の眼鏡を外した。
眼鏡にはコードが付いているので、外した後も、銀縁眼鏡の医者の胸の辺りでブラブラ揺れる。
医者はよく見れば、切れ長の目で、サラサラの髪を右から左に自然と流した、見た目の良い男だった。
きっと
(育ちの良さそうな 良い方だけど、あの人には敵わないわ……)
イリヤが、ぼんやりと揺れる眼鏡を見ていると。
「私のモダニアは、コレでしてね」
銀縁の眼鏡を持ち上げる。掛けはしないが、「目」の前に持って行き、
「あなたと似たような系統で、『超視覚系』です」
冒頭の疑問に戻ろう。
イリヤは超聴覚系と診断され、そう告げられた。
なので、
「–––––それは何ですか?」
と、問いかけたのだった。
銀縁眼鏡の医者が、途中で咳き込みながら説明を始める。
「私の超視覚系の能力は、見た対象の特徴が分かる能力です。例えば、あなたの
「そう……ですか。 それで私の超聴覚系の能力は?」
「ん〜、そうですね、どこまで聞こえているのかまでは分かりませんが、聞こうとした対象の些細な音まで聞こえてしまう能力ですね。例えば、相手の鼓動とか、筋肉の音とか、もしかしたら心の音も聞こえるかも知れません。 けれど、どの程度まで聞こえているかは、もっと精密な検査をしてみないとわかりません」
「はぁ…そうですか」
突然、自分が
銀縁眼鏡の医者の
「あなたは病気をしていますね」
能力が本物であることを示すために、思わず口にする。
「えっ!?」
いきなり、宣告を受けイリヤは驚いた。
驚いたイリヤを確認してから、
「恋わずらいです」
ドヤ顔で言う。
(なんでわかったのかしら?)
イリヤは二度、驚いた。
そんなイリヤの様子を見た、銀縁眼鏡の医者は、
「どうです?当たっているでしょう?」
自尊心が満たされた笑みを浮かべ、イリヤに問いかける。
「えぇ…はい、お見それしました」
「いえいえ、
「そうなんですね」
感服している様子のイリヤに、銀縁眼鏡の医者は、
「私の
「えっ、長いから嫌です」
素直なイリヤが悪気なく答える。
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