初めまして、ぶるりです~飼い主を泣かせる会社は、葬らせて頂きます~

@bururimakaron

宣戦布告します

「会社を辞めるって……ほ、本気かね?」

「はい。僕は本気です」


 顔から血の気が引き、明らかに動揺している松村部長。それを下から見上げているのは、犬のぬいぐるみ。なんとも言えない表情で、部長の顔を覗き込んでいる。半分しか開いていない目が、余計にやる気のなさを強調させる。松村部長は眉間に皺を寄せた。


「君ほどの人……いや、ぬいぐるみが辞めることはない。まぁ、山本さんの方は別に構わないんだが、今ぶるり君に辞めてもらうのは困る!」


 役員の重厚なテーブルをドンと叩き、ぬいぐるみを威圧する上司。明らかにパワハラだ。でも僕にはそんなの関係ない。僕が怖がるのは、大好きな人が怒ったり悲しんだりすることなんだから。僕は首を横に振った。


「それだけじゃないですよ」

「え?」


 短い前足をめいっぱい広げ、ありったけの声で叫ぶ。



「飼い主を泣かせる会社は葬らせて頂きます!」

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