25.テスト当日
一緒に泊まったので今日は里香と一緒に登校である。あのあと、膝枕をしていた里香が俺をベットに運ぼうとしたが、俺の頭を落とすという事件があり、強制的に目を覚ませさせられるということになったのだが、それはどうでもいいだろう。
そのせいで目がさめた俺は緊張なのか、里香の膝枕のせいなのか、全然寝れなかった。ちょっといつもより早くおきた俺は里香をおこしにいく。撫子に頼んだのだが朝ご飯を作るから俺に行けと言われたのだ。
「おーい、里香そろそろおきないとやばいぞ」
「あれ……大和だ……えへへ、癒されるなぁ」
「おお!?」
寝ぼけているのか、目をこすりながら俺をみつめていた里香はそのまま俺に抱き着いてきた。うおおお、一体何がおきてるんだよ!? 想定外だー!! 俺は突然の事態になすがままにされるだけだった。
「あれ、やけに感触がリアルなような……これって夢じゃないのか……? なんで私の家に大和が……」
「何言ってんだよ、昨日うちに泊まったろ?」
「あ……ああー!!」
俺の言葉にきょとんとしていた彼女は顔を真っ赤にして叫んだ。どうやら正気に戻ったらしい。俺を突き飛ばして彼女は恥ずかしそうに布団を頭からかぶってしまった。
「着替えるから出てけ!! いいから早く!!
「わかったって。朝飯もうできるから早くな。里香って朝弱いのか?」
「うるさい、さっきの事は忘れろ!! ああもう……汗臭くなかったかな……」
そして、顔を真っ赤にした里香と、なにやらニヤニヤしている撫子と朝ごはんを食べ終えて、顔を洗って、玄関に向かう。家を出る前にエナジードリンクを飲むのも忘れない。よっしゃ!! 最高にハイってやつだぜ。なんかテンションが上がってきた。ちなみに撫子は涼風ちゃんと約束があるからといって先に行ってしまった。玄関で身支度を整えた里香と合流をする。
「昨日はよく眠れたかな? 知ってるか。ハグをすると、ストレスが軽減されるらしいよ。さっきのはあくまで、それだけだから勘違いするなよ……大和も試してみるかい」
「ああ、頼む」
「え? ちょっと……大和!?」
「おお、本当だな、なんか疲れが取れたきがするぞ」
俺は彼女の言葉に従ってだきしてめる。柔らかい感触と甘い匂いが俺を刺激する。確かに癒されるな。しかし里香が腕の中で、なにやらもぞもぞと動いているがどうしたのだろうか。
「大和……なんか今日は積極的だな……」
「大和……? 違うな、今の俺はネオ大和だ。今の俺に敵はいないぞ!! 灰崎なんかに負けん」
「うわぁ……寝不足と、勉強のしすぎで頭おかしくなったかな……」
さきほどまで顔を真っ赤にしていた里香があきれたという顔をしているが気にはしない。
「さあ、学校に行くぞ!!」
「テストだって言うのにこんなにテンション高いやつはじめてみたよ……」
そして、学校についた俺は里香と別れて目的地へと向かった。因縁の場所である図書室だ。もう、そろそろ朝のホームルームが始まる時間という事で、人は少ない。そいつは俺と目が合うと皮肉気に嗤った。
「逃げずに来たな、緑屋」
「当たり前だろ、灰崎君。約束通り俺が勝ったら里香に謝ってもらうぞ」
「もちろんだ、その代わり、俺が勝ったら在学中お前はずっと俺のパシリだ。俺の言う事はなんでもきけよ」
俺達はお互いの条件を確認しあう。圧倒的に不公平な条件だが、そうでないと灰崎は受けなかったのだ。だが、問題はない。勝てばいいだけなのだから。
「実はずっとお前が気に入らなかったよ、ただ幼馴染ってだけで赤城さんの近くにいやがってさ、一般のくせに」
「そうか……ただの幼馴染で悪かった。里香に認識すらされてないもんな、灰崎君は……」
「お前!!」
俺の言葉に、灰崎君は顔を歪める。ああ、こいつはしらないのだ、俺が里香と一緒にいるためにどれだけがんばっていたかを……いや、当たり前だよな。わかるはずがない。だって俺と灰崎君は別に友達でもないし、知り合いですらない。そんなやつに俺と里香の関係がわかるはずがない。ずっと一緒にいた里香の気持ちだってわからなかったし、撫子の気持ちだって俺はわからないかった。素直にならなきゃ人はわからないのだ。
「しかし、俺をパシリにしてどうするんだ? お前まさか、俺に里香の弱みを教えさせて、メイド服を着せてふとももにキスでもするつもりか!?」
「こいつなにいっていってんの? そんな異常者みたいなことするわけないだろ。お前がむかつくからこき使うだけだよ!!」
異常者とかひどくないか? 俺がちょっとへこんでいると予鈴がなった。そろそろテストに向かないと間に合わないだろう。俺達は特に何も言わずそれぞれの教室へと向かった。その時ちらっと人影が去っていったのはきのせいだっただろうか?
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