第4話
学園が始まって数ヶ月経ったある日、俺は、メディアーナに呼び出された。
【ヴェルグ殿下、大切なお話があります。2人きりでお会いしたいです。今日の放課後、学園の裏のベンチでお待ちしております】
行きたくない。
なぜ、婚約者でも無い相手と2人きりで話さねばならん。
裏庭のベンチなんて、人通りもなく、リディに誤解を与えるじゃないか。
「アーキス、この手紙を持って、俺は行かないことを伝えてくれ」
「え~~~嫌ですよ。あの人、俺にも手を出してくるんですから…おかげでサーシャに要らぬ誤解を…」
サーシャとは、アーキスの婚約者で政略結婚には珍しく両思いの2人だ。
1年前から付き纏ってはいたが、最近のメディアーナは、手段を選ばなくなった。
制服を改造し、襟元を崩しシャツのボタンを外し胸元を強調して抱き着いてきたり、腕に胸を押し付けてきたり、まるで娼婦のようだ。
そして決まって『どうして好感度が上がらないのよっ!イベントは起きてるのに!』と言っていた。
好感度……ってなんだ?
好感…だから、好きという気持ちか?
それが上がらないと言うことは、俺達が彼女を好きにならないから、より卑猥なアプローチが増えてるって事か?
なら、逆効果だな。
気づいてないのか?そもそも、婚約者が居る立場の俺達が、彼女を好きになるはずがないだろう。馬鹿なのか?
「それに、この間なんか、ラフィンとエリシュカ嬢のデートを邪魔しようとしたらしいし、アリシア嬢に暴言を吐いたそうですよ!俺、あまり関わりたくない…」
アリシアと言うのは、エルバートの婚約者だ。
「俺だって関わりたくないし、問題だろ」
「はぁ~」
渋々と言った感じで手紙を受け取りメディアーナの元に向かってくれた。
サーシャ嬢には申し訳がないが、アーキスが一番適任なんだ。
エルバートは毒舌だし、ラフィンはああいう女が大嫌いだからな。
今日1日メディアーナを避け、放課後リディと共にラウンジでお茶をしてたらメディアーナが鬼の形相で近寄ってきた。
「こんの、悪役令嬢!アンタのせいね!私の邪魔ばかりして!何よ、アンタも転生者だと言うの?!」
「転……生、者?」
「惚けないで!」
《転生者って何ですの?
早足で俺達の席まで来て、リディに詰め寄るメディアーナ。一気に捲し立てたかと思えば、手を上げた。
パァーン
と激しい音がラウンジに響いた。
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