第13話 [イケメンとムキムキとイケメン]




「お前ら席につけー。夏休み明けだからって調子に乗るなよ〜?」



 どうやらあれが俺のクラスの担任の先生らしいな。



 見た目は筋肉がムキムキな先生であった。



「出席とるぞー」



 先生が来たことで、騒いでいたクラスメイトたちは各々の席へ着いた。



「えーっと……お前最神なのか…?」


「そうだが」


「そうなのか……」



 先生と目があった途端、先生からそんなことを言われた。やはり髪を切るだけでだいぶ印象が変わるらしいな。



「じゃあ予定通り課題集めるぞー。後ろから一気に回せー」



 俺はバッグから全ての課題を取り出し机に置いた。量はとてつもなく多く、置いた途端にドジっと音がなった。



 流石にこれを一気に運ぶなんて無理があるんじゃないか?前の席は女子だぞ。


 そう思った俺は周りをチラッと見てみた。やはり皆、少しずつ分けて送っているようだ。



(面倒だな……よし)



 俺は片手で自分の課題を手に取り、立ち上がった。そして前席の女子の課題を集め、さらに前へと向かった。



「えっ!?も、最神くん重くないの!?」



 女子が心配したのか俺に慌てた様子で話しかけて来た。

 だが無駄な心配だ。これぐらいは余裕で運べる。



「心配するな、これぐらいは問題ない。だから、大人しく座ってろ」



 俺はニッと笑いながら女子に語りかけた。すると



「ひゃ……ひゃいぃ〜」


「?」



 女子は顔を真っ赤にし、頭のてっぺんから湯気が出ていた…。大丈夫…なのか……?



 自分の列全員の課題を一人で担ぎ、先生の前まで運んだ。



「最神……お前さては筋トレに目覚めたな……」


「む?」


「ふはははは!!“どうしても”と言うならこのダンベル部顧問の“八木林 漢次やぎばやし かんじ”が教えてやってもいいぞ!!」


「結構だ」


「ガーン!!」



 俺は先生の勧誘を拒否し、自分の席へと戻った。



「ははは、お前面白くなったな、強也!」


「そうか?」



 俺の隣の席の男が話しかけて来た。


 確か名前は……“井伊野 朔いいの さく”。サッカー部のキャプテンで女子からの支持が多く、一年生ながらもこの学校ですでに人気らしい。



「なあ、今日終わったら一緒にサッカーしようぜ!」



 このように誰にでも気軽に話しかけることができているのが一つの人気の理由かもしれんな。




 “サッカー”か…。確か足だけを使ってゴールに入れるという球技だったな。


 この後の予定は特に考えていなかったし、付き合ってやろう。



「まあいいぞ、暇だったし丁度いい」


「お!そうこなくっちゃ!悪いが手加減しないぞ〜!」


「くくく…望むところだ…!」



 この男の実力がどの程度か見極めてやろう!


 だがその前に体育館で校長の話を聞かなければならないらしい。


 俺はロッカーから体育館シューズを取り出し、その場で履いた。もうすでに体育館へ向かっている人もいるし、俺も向かうか。



「強也!一緒に行こうぜ!」



 俺は朔にそう言われたので、一緒に行くことにした。



 教室から体育館までは距離が遠く、校舎もかなりでかいようだ。



 体育館に着いた俺たちは番号順に並び、床に座った。先生からの話はどれもつまらない話ばかりであった。

 特に校長からの話が長かったので寝ている生徒がかなりいた。



 先生からの話も全て終わり、教室へと帰ってきた。

 今日はこれだけで、明日から授業が始まるらしい。クラスメイトはなぜか帰ろうとせず、俺と朔を見ていた。



「強也!グラウンドまで行くぞ!!」



 そういえばサッカーをやるのであったな。俺はリュックを背負い、グラウンドに行くことにした。



 行こうとしたのだが……———



「………」



 ドアを突然開け、アホ毛をピョコピョコとさせている見覚えのある人が教室を覗いていた。

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