第11話 [買い物と料理]




『次はー、天伸駅ー、天伸駅ー』


「着いたか」



 俺は電車を降り、改札扉をすんなりと通りもとの場所へと帰ってきた。



 地図によるとこの駅のすぐ近くに野菜などが売っているスーパーマーケットというものがあるらしい。



「ん?あれか?」



 地図通りに歩くと、車がたくさん止まっており、子連れなどの主婦らしき人が多い場所についた。



「ここがスーパーか……。とりあえず今日の献立はすでに決めてある。あとは食材を調達するだけだ」



 俺の今日の夜ご飯の予定は“肉じゃが”という料理にする予定だ。


 理由はパソコンで“これが一番実家の味がする”という書き込みが多々あったからだ。実家の味が何か知らないが、気になったので作ることにした。



「ほう…カゴに食材を詰めてあの人が並んでいるところに持っていけばいいのだな」



 早速俺はスーパーの中へと入り、あたりを見渡していた。


 中は野菜やなんらかに使うのであろう物か置かれている棚、肉や魚などなど…色々と置いてあった。



「えーと……この料理法だとまずじゃがいも、それに人参、玉葱、白滝、豚肉、醤油、酒、みりん、砂糖……」



「確か玉葱と人参はまだ冷蔵庫にあったし、必要な調味料も掃除した時に見たな……。買うものはじゃがいも、人参、白滝と豚肉か……」



 俺は積んであったカゴの一番上のものを手に取り、買うべきものを探すべくスーパーの中を歩き回った。



 かなり時間はかかったが、全ての品をカゴに入れるのに成功。白滝がどこにあるかわかりずらかった……。


 これからもここに通うのだから覚えておかなければ……。



 商品を買う場所…“レジ”に向かい、そのまま列の最後尾に並んだ。


 男の俺が買い物するのが珍しいのかはわからないが、やはりチラチラと見られている気がする。

 自意識過剰とかではなく視線に敏感になっているのだ。前世ではいつ、何が襲ってくるかわからないからな。



 順番を待っていると後ろにおばあさんが並んできた。

 おばあさんは俺のカゴの中を見て話しかけてきた。



「あら〜、肉じゃがでも作るのかしら」


「おお、当たっている…。何が肉じゃがを作るコツとかはあるのか?」


「そうねぇ…作り終わってから三十分ぐらい冷ましてもう一度火にかけて醤油を入れると味が染み込むわよ〜」


「なるほど……いいことを聞いた!感謝する」


「いいのよ、にしても偉いわねぇ」



 やはり長年料理をしているのか、様々なことを知っているらしいな…。


 俺も前世では野営を多々していたので料理もしていたが全て簡単なものだった。



「次の方ー」


「む、俺か」



 レジの中にいる人に呼ばれ、俺は前へ歩きカゴを置いて財布を取り出してお金を払った。


 店員は別のカゴに移し終え、それを渡してきたがなぜか顔が赤く、さらにモジモジとしていた。


 一体なんなんだ……。



 その後は普通に家へと帰った。



〜〜



「さて…まずは手を綺麗にして、それから料理を作らねばならないらしいな」



 手にある菌をなくさなければいけないらしい。それは【清掃クリーン】をやれば問題ない。



 俺は台所へ向かい、レジ袋に入ったものを床に置いた。


 まな板や包丁などを取り出し、早速料理を開始することにした。



「野菜はまず洗ってから皮をむいて切ればいいだよな…。だったら【ウォーターボール】、【ウィンドカッター】」



 野菜を【ウォーターボール】で空中に水の球を作り出し、【ウィンドカッター】で中にある野菜全ての皮を剥いた。


 それらをまな板に起き、約一秒で全て切り終えた。


 武器は何回か使ったことがあるからナイフも使い慣れているのだ。



「さて次は……———」



 それからは風魔法や水魔法、時魔法まで使ったり、包丁を駆使したりしてなんなく肉じゃがが完成した。



 皿に盛り付けた肉じゃがをテーブルまで運び、俺はいただくことにした。



「さて……いただきます…」



 自分で作った料理だが恐る恐る口へ運び一口食べた。



「うっ……うまい!初めてにしては上出来だな!!」



 俺はペロリと全て食べ終えてしまった。肉じゃがしか作っていなかったのでまだ小腹が空いていた。

 その分はまたもや収納してある食べ物を食べて満たした。



 皿も【清掃クリーン】で片付け、自分の部屋に戻りベッドへ転がった。



「とうとう明日から学校か……」



 明日の学校は始業式と課題の提出だけらしい。課題はもともと終わっていたのでなんとか助かった……。


 課題やら制服やらを大急ぎで用意して、明日の準備は万端。



「くくく、その学校でも俺が最強になってやる…!」



 俺は明日を楽しみにしながら眠りについた。

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