第5話 [散策と人助け]
俺は道を歩いていた。
この世界の道には馬車などはおらず、金属で作られた乗り物が走っていた。
そして道を歩くときもルールがあるらしい。
その一つはこれである。
目の前には白の線が何本も横に書かれており、目線を少しあげると赤と青の人のマークがあり、さらに上を見上げると三色の丸がある…。
これは“信号機”というものらしい。
金属で作られた乗り物…“車”というものから人の身を守るためにや、車同士の事故を無くすため作られたものらしい。
俺は最初はなんのことかわからなかったが、すぐに慣れた。
「ふむふむ、歩道と車道と分けていると…そして車同士で衝突しないようにとなっておるのか……考えられているのだな」
そしてだんだんと人も増えてきた。
この世界の人はどれも忙しそうにしている。
「己の“仕事”とやらを全うするため…か」
俺はまだ未成年という部類に入るので、仕事はまだしなくてもいいらしい。
「しかし……何やら視線を感じるな……何かおかしい部分でもあるのか…?」
先程から妙に視線を感じるのだ。特に女性からよく見られる。
一体なんなんだ?
「ねぇねぇ、あの子すごいイケメンじゃない!?」
「うわ…ほんとだ、モデルさんとか?」
「あんた話しかけてみなよ!」
「えー!?私なんか相手にしてもらえないよう…」
「イケメンならジャージ姿でもイケメンなのね!!」
いけめん…?もでる…?よくわからない単語がまた出てきてしまった。
この散策が終わって覚えていたら帰ってパソコンで調べてみるか…。
特に害はないのでそのまま散策を続けることにした。
こちらをチラチラと見るだけで、誰も話そうとしないし、俺が近寄ると離れていくのだ。
やはり問題でもあるのだろうか…。
そのまま散策を続け歩いていると、歩道の隅で泣いている金髪の少女を見つけた。
だが誰も助ける様子がなく、通り過ぎる人や、あたふたしている者ばかりであった。
「日本の住人は皆このように冷たい性格ばかりのやつらなのか?」
俺はそう思ったが、どうやら違かったらしい。
少女の話している言語が日本語ではなかったのだ。
それは日本語しかしらない日本人もいるだろうし、仕方のないことか。
俺は少女に近づき、助けることにした。
「コホン…まずは【
「ふぇ……?お兄さんお話しできるの?」
「うむ、もう安心しろ。そして何があったんだ?」
俺は少女の前に座り、安心させて話しかけることにした。
「えっとね…ママがどこかに行っちゃったの…お兄さんこの辺りに詳しい?」
「なるほど、逸れたわけだ。そして俺は全く詳しくない、始めてきた場所だ!だが安心しろ、母などすぐに見つかるさ」
俺は親指を立て、ニッと笑いながら少女に言った。
「うん……わかった!でもちょっと心配だから…少し側にいて……?」
少女に服を摘まれていた。一人ぼっちは怖いのだろう。
「いいだろう。母が来るまで待っていてやろう」
「ありがとう!お兄さん!」
互いに笑顔を交わし合ったころには、すっかりと打ち解けていたようだ。
「えぇ…何あのハイスペックイケメン……」
「英語ペラッペラやないかい」
「性格もイケメンかよ……」
「俺も英語話せたらなぁ…」
「私もあんな王子様に助けられたい……」
「爽やかイケメン……」
周りからの評価も爆上がりした瞬間であった。
〜 十分後 〜
「あ!ママ!!」
「む」
どうやらこの少女の母が来たようだ。
母が来るまでは少女が日本に来た理由や、好きなものとかを聞かされていた。
そして、やってきたのはこの少女と同じ金髪であった。
「あの…ありがとうございます!この子急に逸れてしまって…って、話してもわからないか…」
「うむ、今度はちゃんと親がしっかり見張っているようにするんだな」
「えっ!?英語すごい上手ですね」
「えいご…なるほど、これは英語と言うのか」
俺は日本語の次に“英語”を習得したようだ。
言語は覚えておいて損はないだろうし、得したな。
金髪ファミリーはお礼を言い、この場から去っていった。
そして俺もこの場から離れるのであった。
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