金のなるイベント「文化展」

第35話「そりゃ言ってないもの」


「エマ、少し聞きたいことがあるんだけど」



咲から電話があって数日、そういえばということで思い出したので、適当に公務をしていたエマに、電話のことを問いかけてみる。



「何かしら」


「近々、なんか表彰式でもあるのか?」



電話のことというのは、咲と話した内容だ。


功績を称える何かそう言ったものらしいが、俺はそういう話を全く聞いていない。


後々ややこしいことになるのも嫌なので、ここはさっさと聞いておこうということになり、今に至る。



「表彰式?」


「昨日、咲と電話してさ」


「あぁ、そのことね」


「やっぱ何かあるんだな」


「まぁあるといえばあるわ。お祭りがね」


「お祭り?」


「国内の科学技術を発表し合う、文化展と呼ばれるものよ。一般開放もされ、お祭りみたいになるのよ。そしてお金ががっぽがっぽ」



現実世界で言うところの、万博みたいなものだろうか。


まぁあれは国際的なものだが、今回の『文化展』は国内のみという違いもある。


まぁ概要はいいとして・・・。



「俺、文化展なんて話、聞いてないけど」


「そりゃそうよ。だって言ってないもの」



さも当然のことのように言うけど、言ってくれないと当日まで知らないで気づかないなんてこと、エマが相手なら割と鮮明に想像できるから怖い。



「エマは、出席する・・・よな」


「当たり前じゃない」



まぁ国王だからな。そりゃ出席するか。



「というか、一応私が主催者ってことになってるんだから」



まさかの主催者はエマという。


それならなおさら俺に言わないと・・・どうせ雑用とかの仕事あるんだろ?


事務的な何かそう言ったもの。



「はぁ・・・今度からはちゃんと言ってくださいね」


「なんでよ」


「いや、いきなり言われても困りますよ」


「なんでよ」


「そりゃ、エマのサポートをしなきゃいけないから」


「なんでよ変態」


「もう雑務しませんよ?」



ということで、二週間後に文化展が開催されるらしいです。


公務が終わったあとに調べてみたが、どうやら文化展の趣旨は、まんま万博と同じようだ。


十年に一度開催され、ここ高崎の人々だけでなく、全国から身分関係なく人々が集まり、一週間に渡って楽しむようだ。



「あ、そうそう。秋斗にはそこで挨拶をしてもらうわよ。国王側近に就任したよーって感じの」


「え?」


「この文化展が、一番国民と金の集まる行事だからね」


「挨拶って、何言えばいいのか?」


「知らないわよ」



そいつは無責任すぎやしませんかね。


やはり政府関係者だから、真面目にいかないといけないのだろうか。


それとも、アメリカ風(偏見)みたく、少し冗談も交えながらが良いのか。


わ、分かんねぇ・・・。

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