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 医師から詳しい話を聞くと、爆発事故で体のあちこちが傷ついたために回復しても、あまり体に負荷になるようなことはできないという。簡単な魔法を使うには問題はないが、パフォーマンスなどで使う大技の魔法だと体にある程度の負荷がかかるのであまり使わないで欲しいとのことだった。



「どうしたらいいんだ」


 医師の言葉を聞いてからというもの、私は一日でも早く退院するためにリハビリを始めていたが退院しても、もう今までの様に仕事ができないとなると、これからどうやって生きていけばいいのかを考えていた。金銭的な面は今まで頑張ってきた甲斐もあって困ることはなさそうだったが、それでは解決できない生きがいを失った気がしたのだ。


 私は一人、夜の病室で呟いてしまった。病院で目覚めてからの数日、夜遅くに目覚めてしまうことが多くなっていて、当時の私は朝が来るまで相当な時間があるように錯覚し、まるで永遠の夜が訪れたかのような感覚に陥っていた。



 リハビリのために入院していた期間は自分で想定していたよりも長引いた。すぐにできるだろうと楽観視していたが、自分の体を動けるようにするのがとても苦しかった。それでも、苦しさを乗り越えて、最終的に退院できたのは事故から四ヶ月後のことだった。



「退院おめでとう」


 退院してから数日、私は友人の蓮とファミレスで会っていた。彼と会ってまず言われたこの言葉は嬉しかった。私は体勢を崩さないように慎重に座る。私のぎこちない動きを見ていた彼の顔は辛そうだった。私は座り終えてから、


「ありがとう」


 と蓮に返したあとで店のメニューを取ろうとしたが、どうしても腕をうまく動かせず、結局彼に取ってもらった。



 料理の注文を済ませてから、蓮と私は話を始めた。

「……なあ。大丈夫なのかよその体? 」


 彼が尋ねてきた。私は少し考えてから、


「……しばらくしたら普通には動ける。でも、前みたいに無茶は効かなくなったな」


 と返した。

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