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咲也は女性にお茶を出した。落ち着いた彼女はお茶を一口飲んでから話をはじめた。
「あの時は本当にうちの家族がお世話になりました。今日は主人はまだリハビリ中なので私が代理で参りました。あの後、病院を辞めたと聞いたので探すのが大変でしたが、見つかって良かった」
女性は少し礼をする。彼女は当時、事故に巻き込まれた家族の一人で、当時は家にいたのだという。
「……こちらこそご主人をあの様なことに巻き込んでしまってすみませんでした」
申し訳なさそうな顔をしてに咲也深々と頭を下げて謝った。
「いえ、いいんですよ。当人は気にしていませんし」
彼女は優しい顔を浮かべる。それでも尚、咲也は頭を下げている。
「……足立さん。確かにあなたは責められる様なことをして実際に責められて、仕事まで辞めることになって今は隠れるように暮している。でもね、そのお陰で私たちはまたいつものように過ごせているのですよ。あなたがとった判断は間違いなかったと私たち家族は思っています」
咲也は頭をゆっくりと上げた。彼は直後に泣き崩れた。椅子から落ち、床に顔を当てながら泣き止むまで、泣き続けた。
女性の言葉は彼にとっての救済魔術だった。
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