神のいたずら

赤月なつき(あかつきなつき)

プロローグの前菜 ~前振り~

  空は好きだ。どこまでも広がって私たちの心と罪を受け入れてくれる。様々に顔を変えて、悲しみ、喜び、怒り、安らぎを色や雲を使って私たちに示してくれる。私はその空を愛おしいと思う。


でも、そこに住む神々は大嫌いだ。言うなれば天上の神々だ。彼らはもともとは何でもない人間だった。ただ前の世界の終末でうまく生き残った運のいいやつがたまたまこの世界を創り、いたずらに造りだした子分たちと私たちを見下している。最初のころは私たちのことを見ているだけだった。それだけで面白いからだ。人間は多種多能で何もしなくても勝手に面白い世界を創ってくれる。でもそれじゃ満足しなかった。神は何の気なしに一人の人間に神と同等の力を与えた。万物に命令し、思うようにできる力だ。そうすると人間たちは神の想像以上の面白い物語を紡いでくれた。だから、神は多くの人間にその絶大な力を与えた。


 しかし、人間は神を超えてしまった。人間の欲深さと愚かさと醜さはどんな神にも勝り、最終的に、人間は自分たち同士を殺してしまった。神はそれに対し怒りを現した。まあ、自分たちが楽しむために生み出した人間たちが勝手に死んでいったら不愉快だろう。神は人間たちにその力を使うことを恐ろしいことであると植え付けようとした。だから、悪魔が生まれた。神と同等の力をもち、神と同じ様に元々は傲慢な人間だった存在を介して力を与えるようにすることでこのような神の怒りを買うことはなくなった。


 そして神にとっておもしろい玩具は高品質で自分と感覚が似通っているため、親しい遊び道具と化した。


 その悲劇に付き合わされた哀れな人間が七人いる。今回から話すのはそんな七人たちの人生である。そして物語が始まるための前菜である。そう、『プロローグのための前菜』である。さあ、刺激的なオードブルを楽しもう。


 



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る