参場 一
どこかに出かけていた吉右衛門と弁慶が屋敷に戻って来たのは午後三時過ぎだった。早速、少女のいる部屋へと静華を伴って話をしに来た。
そして、
「私の名前は霞。しばらく、ここにいてあげる事にしたわ」
「靜華、あんな事、言っているけど?」
「あんたの屋敷やろ。あんたが、決めなはれ。弁慶、面倒見れるん?」
「拙僧は靜華様専属でございますので……吉右衛門どうだ?お主は美女好きであろう?」
「否定はしないが……子供は自主規制の対象だ。そもそも、靜華が連れてきたのだろう?」
「ウチは可愛いから拾っただけや、育てる自信があらへん……弁慶どうや?」
「それなら、市場にでも捨ててきましょうか? “大切にしてください”と貼り紙つけて。一緒にどうだ? 吉右衛門?」
三人が車座になって相談をぶちながら、たらい回しにしている。
「ちょっとあなた達! 私は一人で何でもできるわよ。面倒とかむしろ要らないから、だから、ここにいてあげるって言ってるでしょ。有難がりなさい!」
霞が何やらわめいてはいるが、吉右衛門は無視して考えていた。
「靜華、この自称美少女に仕事手伝わせても良い?」
「何のや? 人探しか? 危ないのはあかんよ。女の子やさかいな」
「危なくは無いよ。俺たちがいるしな。それじゃぁ決まりだ。お前、俺たちと組め。な」
霞をよそに決定する大人達。
「これから、
「霞。あんた、ウチらにかました、あんな大技使ったらあきまへんよ。あんた、あれやるとそのまま気絶していたやろ? それはな、使える技の大きさがあんたの身体にある力の総容量を超えてるんよ。そやさかいな、一発撃つと気絶のように行動不能に陥るんよ。小技を地味に使いなはれ」
「それじゃあ、静華があの力を使ったら?」
吉右衛門が興味本位で聞いている。
「ん? ウチか? まぁ、力が使えたころなら京の街ぐらいはいけたんちゃうか? よかったなぁ。ウチの事本気で怒らさんで。あんた、その辺は上手いもんなぁ。誰にでも特技はあるんやな。まぁ、話は終わりや。霞わかったな?」
「姉様、わかったわ。もう使わないわ。
それと、姉様に言われた通りにやるわよ。その程度の事、造作も無いわ!
二人とも、私の力をそのぼんくら頭に刻むといいわ!!」
霞が任せろと胸を叩いている。
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