君に好きだと言いたい
七草 みらい
第1話 転校生
「ねみぃ・・・。」
本当ならここでもう一度ベットインしたいところなのだがあいにくながら今日は登校日だ。いやいやながらもベットから出て学校へ行く支度を始める。
顔を洗い、髪を整えて、朝ご飯を頂く。残念ながら親は仕事が朝早くからあるので一人寂しく食べている。食べ終わったら歯を磨いて、自転車にまたがり学校へ向かうだけだ。
学校に着くといつもより教室が騒がしいことに気が付いた。特に今日は行事という行事もないはずなんだけど…。
「おはよ、和樹。」
「おはよう、祐希。」
そんな中俺に挨拶をしてきたのが山下祐希だ。学校で一番俺の仲のいい男友達で小中高と長い間同じ学校に通っている。誰とでも分け隔てなく接するいいやつなのでそれもあってかなり交友関係は広い。俺の名前が奥山和樹なのでそのまま和樹と呼ばれている。
「今日なんか騒がしいけど何事よ。」
交友関係が広いということはそれだけ情報通でもあるということだ。有機なら何か知っているいるだろうと踏んで聞いてみた。
「どうやら今日転校生が来るらしい。それでみんな気になってしょうがないらしい。」
「へぇ、転校生ね。」
俺は素直に珍しいと思った。なんせ俺たちは今高校2年生だ。そんな中転校してくる人なんてなかなかいないと思うからだ。
「なんだよ、冷めてんな。もしかしたら飛び切り可愛い女の子かもしれないぞ?」
別にそんなに冷めているわけではないのだが。あと後半のは奴は完全に願望が混じってるし、あまり口に出すべきではないと思う。もう遅いけど
「やっぱり人気モデルは美少女なんか見飽きてるってか?」
「そんなことないし、後その話は。」
「悪かったって。冗談だから。」
「それならいい。」
声量は明らかに抑えられていたし、周りにも聞こえないよう配慮していたあたり冗談なのは本当だと思う。
そう、俺にはもう一つの面がある。と言ってもモデルの仕事をしているだけだ。俺は母子家庭なので母親しかいない。だから少しでも親の負担を減らせるようにとモデルの話を受けた。
結果として親の負担を減らすことには大成功した。だがその代わりに俺の日常生活が脅かされるようになった。学校には眼鏡と少し髪形を変えて変装して通っている。友達もそこそこいるがこの秘密を知っているのは祐希だけだ。
そんなこんなで話していれば・・・。
「お前たち席につけ。」
担任の先生が入ってきた。周りの生徒たちも次々と自分たちの席へと着きだした。俺たちも元の席に着いた。
「今日は転校生がいる。入ってきなさい。」
教室内の緊張が一気に高まったような気がする。扉が開き、そこから出てきたのは…。
「初めまして、矢野夕菜です。よろしくお願いします。」
容姿は非常に整っており、男どもは机の下でガッツポーズをしていた。いやそんなことはどうでもよかった。
(どこかで見たことがある?)
俺と彼女は初対面のはずだ。そのはずなのに俺は彼女から目が離せないでいた。
君に好きだと言いたい 七草 みらい @kensuke1017
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