第4話 お叱りを覚悟で
閻魔=
申し訳ございません、まことに。お叱りを覚悟で申し上げますならば、貴方さまの気まぐれ…申し訳ございません。これは言い過ぎでございました。
人間世界において、時代々々におけるその時々の、道徳観念・法律によって、 正誤の判断が下されるのは、致仕方のない事でございましょう。
神 =
ふむふむ…
閻魔=
しかしながら、それらは一貫性のないものが多いのでございます。
ある日突然に、覆ることもあるのでございますよ。首をお傾げになるとは、意外でございます。お許しになられたではございませんか。原爆などと言う、途方もなく恐ろしい武器のご使用を。あれ程にお止めしたのに、でございます。
神 =
ああ、あのことかね。
うむ、あの時はわしも、どうかしていたようだ。特攻などという愚行を、余りにも繰り返すものだからね。つい、お灸を据えたくなってしまったのだよ。あれは確かに、わしの誤りだったようだ。
閻魔=
失礼ながら。
神である貴方さまには、万が一の誤りも許されないのでございます。あのことから、彼の国はその後またしても、大きな蛮行を犯してしまいました。枯葉剤などという世にも恐ろしい薬剤を、何を血迷ったか、同じ人間相手に使用したのでございますから。
しかし原爆にしろ、枯葉剤にしろ、当時においては止むを得ない決断だと、多くの者が考えたのでございます。
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